手元にはもう図書館から借りた本がなくなってしまったので昨年の夏にアメリカで買った本を読みました。洋書は読むのに時間がかかります💦

何年か前にオンラインのスクーリングで米国の女性作家について学び、その時に名前が挙がっていたのがケイト・ショパンのこの作品でした。

 

きっと他の本をこの本の前に読んでいれば印象も変わったのでしょうが、小公女で登場した身寄りもなくぼろを着て何日もパンを食べていない少女と比較すると、この作品の女性はお金持ちで妻や母だけではない自分に目覚め、思うようにならない葛藤で......となると贅沢な悩みだと思ってしまいました。

 

小説の中で主人公の友達が「自分」を貫き通そうとする彼女に対して「子供達の事を忘れないで」と何度か言う場面があるのですが、最後に海の中に消えていく彼女は子供の事も忘れてしまう(自分がいなくても大丈夫)と考えるところは......う~ん.....と言う感じでした。まぁ、それだけ「自己」に対する思い入れが強いという事なのでしょう。

 

読みながらなんとなくヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」を思い出してしまいました。上流階級の女性で昔は自立する女性を目指していたのにいつのまにか周りに流され、夫を支える妻や子供を育てる母になり、そんな自分ではなく「女」や「1人の人間」でありたいと願う.......このころの一種の流行りの思想だったのかもしれません。納められている他の短篇小説もどちらかと言うとその方面の内容でした。私はウルフも余り好きではないのでもうケイト・ショパンは良いかなと思いましたが、ウルフがファンならばおススメだと思います。

 

"The Awakening and Selected Stories of Kate Chopin"

Simon & Schuster Paperbacks

New York, 2004