年末から読んでいた谷崎潤一郎の「細雪」を読み終えました。
大学時代に国文学の授業で「春琴抄」を読み、その描写の力に惹きこまれた覚えがあります。
そしてこの「細雪」も御多分に洩れず。
太平洋戦争直前の設定で、端々に戦争が影を落としていますが、話の中心は大阪や蘆屋を舞台にした(零落しかけているが)上流階級の世界。
雰囲気が全体に朝ドラチックで、まるで映像を観ているかのように情景が目に浮かびました。さすが文豪。
ところで、明日は24年目の「1.17」。
神戸市東灘区にある谷崎の旧居(移築)は損壊を免れたのだとか。
谷崎自身は、関東大震災で家を失って関西に移住。移住先で阪神大水害に遭う(本人はそれほど被害を受けていないと言っていますが。)など、大変な目に遭っています。
「細雪」中にも水害の生々しい描写が出てきますが、そうした体験から生み出されたものなのでしょうか。
谷崎の旧邸、一度訪れてみたいと思います。