4月から彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督に就任したコンドルズ主宰近藤良平の就任後初のプログラム「新世界」を観に彩の国さいたま芸術劇場へ。

＊＊＊＊演劇情報サイトより＊＊＊＊＊＊

ダンス、演劇、サーカス、音楽！多彩なアーティストがクロスする『新世界』へようこそ！

4月、彩の国さいたま芸術劇場芸術監督・近藤良平がついに始動！ “クロッシング”をテーマに、多彩なアーティストの交わりによって新たな表現の誕生を目指します。W.シェイクスピアの『テンペスト』をモチーフのひとつに織り交ぜた、就任後第一作、その名も『新世界』！さまざまな色や音が重なり合う、ファンタジックな舞台にご期待ください！

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

コンドルズが定期的に公演を行っている劇場でもあるので、地元に根付いている近藤良平ファンも多く訪れていたようで、就任後初の舞台のカーテンコールでは客席からの暖かな拍手が自然に湧き上がり、会場は「わたしたちの地域の公共劇場をこれからよろしくお願いします」といったあたたかい雰囲気でつつまれていた。

クロスジャンルのテーマ通り、近藤自身とコンテンポラリーダンサー、俳優（長塚圭史）、コンテンポラリーサーカスパフォーマー、そして切り絵アーティストのチャンキー松本がサーカスのテント小屋を模したステージで仲間と楽しく身体を動かす、自分を身体で表現することの楽しさをカラフルなセット、衣装、そして時にそのパフォーマンスにも駆り出されることもあるミュージシャンたちと共に躍動する。

しなやかな柿崎麻莉子のダンス、天井から吊るされた布を自在に操りアクロバティックな演技をみせる長谷川愛実、群舞の後ろの方で皆を見守りながらあいかわらずのキレの良い動きをみせる近藤などの一群の中で、魅力的にリズムを刻むファンキーなチャンキー、大柄な身体で真面目にステップを踏む長塚など、コンドルズの公演の魅力と同じように個人が光る見せ方が秀逸だ。

コンドルズの公演を観たことのある方は同意してもらえると思うが、大小様々、そしてテクニックも様々なメンバーがそれぞれの特徴を活かし、時に隣のメンバーの力を借りて、団体として完成させる群舞はとても魅力的だ。誰もがステップを踏んで良いのだ、自分の思った通りに身体を動かしてみよう、、、踊りとはそういった、人間誰もが表現することのできる根源的な表現のあり方なのだと感じるような、彼らの作品はポジティブな気持ちになれる舞台。

それを今度はもう少し範囲を広げて、この埼玉の公共劇場で普及させていこうという新芸術監督のミッションがはっきりと伝わってきた、これからの展開が楽しみとなる就任後初の舞台だった。

新世界（4/30)