下北沢小劇場楽園で大西弘記率いる(作・演出担当)東京ハンバーグの「子どもと大人と食堂と。」を観た。
東京ハンバーグは座・高円寺で上演された作品を何本か観ている。社会事案となっている出来事をベースにして、普通の人たち、彼らの家族や親しい人々に起こった出来事、そんな彼らが遭遇した日々の葛藤を描いているという印象がある。
今回はタイトルからもわかるように、今や全国で一万か所に達する勢いの「子ども食堂」に関するお話。
シングルマザーに育てられた姉妹は母親が育児できる限界に達し、養護施設にあずけられるようになったという過去がある。
兄悠太(鈴木暢海)と妹千沙(小林風生子)はそんな母の最期というタイミングで数年ぶりに連絡を取り合うようになった。
兄の食事環境を心配して手作りの総菜を届ける千沙。
そんな中で二人はひもじかった幼少時代を思い出し、それと同時に子供のときにはわからなかった母親の苦労にまで思いをめぐらすようになる。
そんな中千沙は子ども食堂の活動を知り、自分たちのようなひもじい子どもを減らすべく活動に参加することに。兄も誘ってみるが、兄はそんな一時の救済では本当に子どもたちの貧困状況を変えられない、と拒否する。
先日観た映画「あんのこと」でもシングルマザーの貧困家庭が扱われていたが、格差社会問題、貧困の蔓延問題、世界は血迷いながらどこへ向かっていくのだろう?とうんざりする。
その中で持ち出しで子ども食堂を続ける一般人が増える一方で行政がそれに甘えているというのも。。。う~~ん。
で、舞台の話にもどるが、今回、楽園の特殊な劇場機構をうまく使ってシーン転換をしていた。ミニマムな舞台セットもすっきりとしていて、十分に役目を果たしていたと感じた。