みなさんこんにちは!![]()
How are you?
今回は特に印象に残っている患者さんを中心に、オーストラリアのより実際の看護に焦点を当てて、看護観的なことから看護システムに関する情報も交えて少し紹介出来たらと思います。
Person-centred care; その人らしさを中心とした看護
オーストラリアで看護を勉強していて本当によく聞く言葉です![]()
特に私の在籍しているAustralian Catholic University;オーストラリア・カトリック大学はEthical practice (倫理的観点)を大切にしていることもあり、患者さんの権利(rights)や倫理(ethics)がとても大切にされています![]()
日本でも聞いたことがあるかもしれませんが、illness(疾病)に焦点を置くのではなくて、a person experiencing illness (疾病を患わっている一人の人)という観点で患者をとらえた看護観です。
Person-centred care and Safety maintenance (その人らしさを尊重したケアと安全管理)
そんなperson-centred care, 実際の医療現場や看護においてよく問題になるのがsafety maintenanceとのバランスの問題です。
例えば高齢であったり認知症であったりで転倒リスクの高い患者さんへの行動制限や身体拘束など。多くの患者さんが嫌悪感を示したり、拒絶し、なかなか難しい問題でもあります。
そこでこちらの医療現場でよく用いられるのがTherapeutic relationship(治療的関係)の構築やActive listening(積極的傾聴)といったスキルです。
つまり、患者さん自身を医療チームの一員ととらえ、目標設定から全ての医療行為に主体的に取り組んでもらえるような治療にとても前向きで有効な患者ー医療者関係性の構築を目指した看護介入です。
この観点から患者の安全管理を考えると、看護師が一方的に看護介入するのではなく、いかに患者さん自身の安全管理への知識や意識を高め、自ら安全管理に主体的に取り組んでもらえるようにするかがとても大切になります。
例えば転倒リスクの高い患者さんに、看護師の視点から捉えた看護介入として身体拘束や行動制限を命令のように押し付けるのではなく、実施の必要性、メリットやデメリット、期間の目安などをきちんと説明し、そのうえで患者の思いや希望をできるだけ尊重することがとても大切になります。
その結果、患者さんは治療をより前向きに捉え、また目標達成への意識や希望も主体的に持てるようになります。
実際の私の体験でも、Therapeutic relationshipの重要性を実感する事例がありました。
高齢で軽度の認知症もありなかなかベッド上安静が守られていなかった患者さんにこのTherapeutic relationship的介入を試みたところ、患者さんの自力歩行への意欲がとても高いことが分かり、彼の行動はその意欲への表れであることが分かりました。しかし、まずはベッド上安静による安全の確保と怪我の回復が必要であったため、その必要性と本人の希望をできるだけ取り入れた自力歩行に向けた目標設定を患者さんと話し合ったところ、今まで頻繁にベッドから自力で起き上がろうとしていた行為が収まり、理学療法など治療への積極的な取り組みが見られるようになりました。
転倒への危険から自力歩行は難しいとも考えられていましたが、最終的にはほぼ自力の歩行でトイレに行くなどの行為が可能になりました。この患者さんが治療にとても協力的になったのはTherapeutic relationshipの構築とPerson-centred-careにより治療の目的や目標を共に共有することができたからではないかと思っています。もともととても自力歩行への意欲が高い患者さんだったのですが、いかに患者さんの主体的な思いを尊重し、サポートできるかが大切であるかを学んだ事例でした。この患者さんが最後に涙ながらに"Never give up".と私に言った言葉はきっとずっと忘れないと思います。
Person-centred careと医療・看護の満足度
医療の現場においてありがちなのが、医療者主体の治療で、患者やその家族の思いはしばしば忘れられがちになります。より多くの手間や時間を掛けるのではなく、少し視点を変えて患者さんの視点から接することで、Therapeutic relationshipやPerson-centred careを取り入れることができます。このPerson-centred careやTherapeutic relationshipといった概念は、治療の経過や目標設定に主体的に参加できるといった面から患者さんやその家族の医療に対する満足度を増すだけでなく、看護師にとってもより効率的で効果的な、質の高い看護の実践と満足感の向上にもつながると感じています![]()
