岸信夫メールマガジン 政治経済ニュース 2010年5月号 | 岸 信夫 メールマガジンサイト

岸信夫メールマガジン 政治経済ニュース 2010年5月号

◇◇◇岸信夫より一言◇◇◇

当初より懸念していたとおり、普天間基地問題の5月末決着は出来ませんでした。

 9ヶ月の迷走の末、出された結論は現行案の辺野古沖。訓練の分散化についても米軍と協議を続けることになっているが、これも何も決まっていない。地元名護市側が受け入れを容認して頂いていたのが現行案であり、新たな政府案は地元の合意を得られておらず、現状は現行案に比して大きく後退したと言わざるを得ません。2014年移設の道筋も厳しくなり、普天間基地の危険を取り除くというそもそもの目的の達成が危ぶまれるという最悪の事態となっています。沖縄の基地周辺の住民に対する裏切りであり、信頼関係を失ってしまっては解決の道は開かれません。

 この問題をめぐって日米間の安全保障の信頼関係が揺らいでいる間に、北朝鮮と韓国の間では緊張が高まっている。また、中国は強大化する軍事力を背景に海洋権益を求めてわが国の海、排他的経済水域(EEZ)を脅かしている。まさに日一日とわが国の国益が失われています。

 そして総理自身の言葉が招いた政治不信。出来ないことを個人の「思い」だけで約束したこと、約束が果たせなかったことに対して責任をとらないこと。

 内政、外交・安全保障、そして何より政治倫理。これら3点において決して許されるものではありません。総理には即刻退陣してもらわねばなりません。

かといって総理が変わればすむ問題でもありません。かつて橋本総理が沖縄の関係者と胸襟を開いて何度も話し合ったように、時間がかかろうとももう一度地元、そして米国との信頼醸成に努めねばなりません。

 国会はいよいよ終盤。社民党の政権離脱、重要法案の度重なる強行採決、総理に対する不信任案提出も含めて、政局は波高しです。そして参議院選挙も迫る。

そろそろ鬱陶しい梅雨も近づいてきました。万全の体制で臨んで行きます。



◇◇◇月例経済報告のコーナー◇◇◇

今月の内閣府の経済報告を基に、わかりやすい経済をお伝えします!


◎今月の基調判断

「景気は、着実に持ち直してきているが、なお自律性は弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。」


〔解説〕

 政府は引続き、家計支援の拡大と新産業分野の発掘による雇用創出を目指し、自律的な内需拡大による経済成長を模索している。

 一方で、欧州発進の景気リスクは引続き懸念され、企業の収益構造はしっかりとしたベースがあるものと考えにくく、世界経済全体として下振れリスクを伴っている。



主要な動きの判断

 (1)株価の急速な動き

 (2)消費の回復への動き

 (3)アジア経済の底堅さ

 (4)企業収益の海外依存化

主要ポイント

 A.鳩山内閣の支持率の急速な低下

 B.郵政改革法案 衆議院にて強行採決

 C.口蹄疫対策の対応遅滞

 D.中国の温家宝首相の来日




<時代の見方>

 日本の政治が混乱している。見事に「政局迷走」といったところであろうか。政治だけではない、経済や文化、「日本」の心が揺らいでいる。本日から始まった子供手当の支給、国が決めたことだからとは言え、実際の実務は地方公共団体の職員の方々。国内外問わず、その支給対象条件など、多くの問題点で混乱が予想されていたが、結果、問答無用の形で、この政策は遂行されようとしている。

 「国民の生活が第一」であるはずの政権の「チェンジ」は、国民の意思をも奪い、今や建前上民主主義の独裁国家の体をなしている。

国民はその溜まった思いや悲痛な叫びをどこに訴えて行けばよいのか。某党の地方県連事務局か?それとも検察審査という司法の場か?

答えは、もう一度国民の意思を正直に反映できる状態を作っていくしかないのではないか。参院選まであと1か月余り。この選挙は、単なる政党の争いではなく、日本の方向性を決める重要な岐路となろう。

 現代社会に『リバイアサン』が存在するとは信じたくもない。




※『月例経済報告』

http://www5.cao.go.jp/keizai3/2010/0524getsurei/main.pdf

※『月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料』

http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei-s/1005.pdf

※詳細に関しましては、内閣府のホームページをご参照ください。

http://www5.cao.go.jp/keizai/index.html