日本政府は韓国政府をはじめ関係者に対し、本当にあらゆる手段でこれを阻止しようとしたのでしょうか。

政府は

 外務大臣が記者会見で「わが国の基本的な立場から容認できない。大変遺憾だ」と表明し、駐韓大使から韓国外交通商第1次官に厳重に抗議した。

菅総理は日中韓サミット前に「事実が確認されればきちんとした対応をとる」としたが、結局日韓首脳会談ではこの件を取り上げることはなかった。日韓外相会談では、金外交通商相に対し、「わが国政府の立場を強く申し入れた」ということですが、総理は嫌な役を外務大臣に押し付けて自分は「いい顔」をしたかったのでしょう。韓国側としては、首脳会談ではなく外相会談での懸念表明はレベルの低い抗議と受け止めたでしょう。韓国からは「一部の野党議員の行動で政府は関係ない」という対応です。

 結局、24日午後には韓国議員3人が現地に入り、既成事実がひとつ積み重なってしまいました。ロシアは「来るもの拒まず」だが「北方領土の実効支配を正当化する材料の一つとして利用する可能性はある」(ロシア外交筋)。これが総理の言う「きちんとした対応」の結果です。

 我が政府の対応は、韓国政府の行動ではないということで、煮え切りませんでした。それは昨日、今日の党本部で行われた外交部会での外務省答弁でも明らかです。昨日はチケットが確保できて議員が飛行機に搭乗する段になっても、その情報をつかんでいたにもかかわらず「事実確認ができていない」としたことが明らかになりました。今日の議論では韓国議員が委員会としての視察なのか、個人的訪問なのか、あるいは公用旅券を使っているのかどうなのか、国会職員が同行しているかどうか、議員によるわが国への不法入国事案として扱うかなどの質問に対しても明確に答弁することはありませんでした。

しかし、野党議員といっても、国会の委員会委員長(独島領土守護対策特別委員会)の訪問であり(しかも国会職員が同行しているとの情報もある)、両国関係に重大な影響を及ぼす事態であるとの認識に欠けるのではないか。

 部会においては、我々のカウンターパートともいえる韓国国会の議員の行動に対し、我が国国会として抗議をすべきとの意見でまとまりました。

 現在、朝鮮儀軌を韓国に引き渡す日韓図書協定が参議院外交防衛委員会で審議中ですが、衆議院で4月28日に可決してしまったので、参議院が結論を出さなくとも5月28日には協定が批准されたことになります。ですが、日韓の協定を国会で大詰めの審議をしている最中に韓国国会議員が我が国の立場を大きく損ねるような行動を起こしたことは看過することができません。民主党はじめ協定締結に賛成している議員においても本件を重く受け止めていただきたいと思います。