ロシアの穀物禁輸 | 衆議院議員 岸 信夫 オフィシャルブログ「の・ぶ・ろ・ぐ」Powered by Ameba

ロシアの穀物禁輸

 ロシアが穀倉地帯の干ばつを理由に年内の穀物輸出禁止を発表した。世界第3位の小麦輸出国であるロシアの禁輸措置は当然国際相場に多大な影響を及ぼし、小麦先物相場は2年ぶり高値をつけている。日本の輸入先は米国、カナダ、豪州でありロシアからはほとんど輸入していないが、世界の小麦需給状況の逼迫による価格上昇の影響を受ける。政府の国内売却価格は国際相場に連動して年2回改訂されるので、このまま国際相場の高値が続くと、小麦供給の90%を輸入に頼る日本では小麦粉や2次製品であるパン、ケーキ、麺類の価格にも追って影響が出てくることが懸念される。

 ただし、主要輸出国である米国では収穫が進捗しており、期末在庫率も高くなっているので、影響は一時的との見方が主流。

 世界的に温暖化が進み、どこかで異常気象、大規模干ばつが発生しているこんにち、小麦の9割を輸入に頼っている我が国にとって、米国やカナダ、豪州が不作になった時でも輸入ルートを確保しておくことが大切である。

 米国中西部が干ばつで穀物・大豆が大不作となった1973年、米国は大豆の輸出禁止措置を発表したことがあった。

 米国は穀物を戦略商品として外交ツールに使うこともあった。1980年、ソ連のアフガン侵攻に対してソ連向け禁輸を行ったが、これは結果としてソ連が輸入先を分散させ、米国のシェア低下を招くこととなった。今回のロシアの措置は穀物輸出国としての信頼を損ねることになるだろうが、いずれにせよ、歴史的には穀物は政治・外交に使われることもあったことを忘れてはならない。