北朝鮮発射誤報の教訓
「衛星は間もなく打ち上げられる」。北朝鮮側の発表に早い段階での発射の憶測が駆け巡った。「間もなく」とは時間的にどの程度を意味するのか、この「間もなく」は北朝鮮では「間もなく電車がホームに入ってきます」というようなときに使う単語だとの意見もあるが、数分なのか、数時間なのか?やはり11時に打ち上げる可能性が高いとの思惑も強まる。
そんな中で秋田から、「発射された」との情報が逆流してきた。省内では全く連絡がないのに、どうなっているのか。後で、防衛省内から「編集中のメッセージが誤って送信されてしまった」ことが判明。本来緊急情報はEm-Netシステムを通じて自治体に送られるところを、このメッセージを受け取った自衛隊連絡官が発射の連絡として自治体側に伝えてしまった。誤発信と誤伝達、この2つの人的ミスによって誤情報が各自治体に伝えられてしまった。
その後も省内では様々な情報が流れた。12時16分過ぎ、会議室内が騒然となり「発射」の声が響く。1分もたたぬ間にテレビでも「発射された模様」とのテロップが流れた。早い。
しかし、テロップが流れるのとほぼ同時に省内では「誤報」との連絡。すぐに官邸に伝達された。それでもテレビで発射情報の訂正がなされるまで数分間。何と長く感じたことか。この間誤情報に翻弄され、不安を掻き立てられた方々には本当に申し訳なく思う。
事態の詳細はすでに報道されているが、本来「発射」の確認は米国の早期警戒衛星からの情報・SEWをもってすべきところが、飯岡のレーダーFPS5から入った情報を「SEW入感」と発してしまい、機器上ではSEWが示されていなかったにも拘わらず「発射」として官邸に伝わった。「すぐにも打ちそうだ」「情報伝達は一秒も遅れないよう」といった極度に緊張した状況下で人的ミスが重なったものだ。
この二つの誤情報伝達については防衛省・自衛隊できちんと検証・反省の要ありです。しかし、一方で、「あつものに懲りてなますを吹く」にならぬよう。迅速性と正確性は相反するが、着弾まで10分以内という中では迅速性が最も求められるところ。本来あるべき情報伝達のルールを徹底したうえで、迅速性が失わぬようせねばならない。