岸信夫メールマガジン 政治経済ニュース 2009年2月号 | 衆議院議員 岸 信夫 オフィシャルブログ「の・ぶ・ろ・ぐ」Powered by Ameba

岸信夫メールマガジン 政治経済ニュース 2009年2月号

◇◇◇岸信夫より一言◇◇◇
◎安心・安全のためのコスト
 1月29日、わが国は国連児童基金(ユニセフ)に対し、パキスタンのアフガニスタンとの国境周辺におけるポリオ(小児麻痺)撲滅計画実施に必要なワクチン調達のため4億2,200万円の無償資金協力について交換公文の署名をおこなった。
 約30年前にワクチンの普及によってポリオ根絶を果たしたわが国では、忘れられそうな感染症だが、パキスタンなどの常在国との交流による発生リスクがある限り日本の子供たちへのワクチン投与も続けなければならない。国立感染症研究所情報センター長の岡部信彦氏の指摘によると、わが国ではポリオに対する不活化ワクチンの開発について治験が進まないため、リスクが残る「経口ワクチン」を使い続けているとのことだ。流行の可能性が限りなく低い感染症に対しては、予防の危機意識が稀薄になり、より安全なワクチン開発のための治験が進まないということである。「平穏はワクチンがあるおかげ」「過去にどこかの誰かが効果を試してくれたからこそ我々は安心していられる。ワクチンを打たなくてもいいと考えている人の安全はワクチンを受けた大勢の人が盾となって守っているのだということを忘れてはならない」と岡部氏は述べておられる(2月22日(日)付け産経新聞)。
 近年、中国産食品の農薬混入や、偽装表示などが多く摘発され食の安心・安全に関心が高まっているわが国だが、その安心・安全を手に入れるためのコストについてどれほどの覚悟と寛容を持ち合わせているのだろうか。国内の農家が安全な農産物を作っても、それに見合う対価となると、消費者側の経済的な理由が優先してしまうのが現実ではないか。

 翻って国防についてはどうだろうか。わが国は25万人の自衛隊を保持し、安保条約に基づいて米軍の駐留を受け入れ、国防のために5兆円弱の予算を必要としている。日本は大戦後60年以上にわたり平和を維持してきた。しかし、他国の軍の航空機による領空侵犯回避のため、航空自衛隊による緊急発進、いわゆるスクランブル発進が平成19年度の1年間で300回を超えたことをご存知の方は少ない。隣国の、特にロシア軍航空機の飛行に対して発進する回数が急増した。航空自衛隊の戦闘機がそろって離陸するたびにその爆音に眉をひそめ、平和な日本で何のために戦闘機を飛ばすのかと防衛装備費や燃料費の無駄遣いを指摘する人はいるだろう。もし自衛隊がスクランブルをかけないとしたらどうだろうか。自衛隊機の出迎えを受けない他国の軍用機は防空識別圏の際で方向を変えることなくそのままの進路を維持し、いつしかわが国の領空内を我が物顔で飛行するようになるかもしれない。
 「備え有れば患い無し」。戦闘用の装備についてはそのまま使われずに無駄になることがわが国にとって幸せな状況なのだが、「備え」がなければ「患い」が生ずる。万が一にも国民が脅威に晒されることのないよう、たとえ無駄になろうとも「備え」を常に整えておかねばならない。「ほとんど発生の可能性のない感染症に対するワクチンの開発の必要性」、「食の安心・安全に対するコストの受容」と繋がるところがあるのではなかろうか。
 今年は防衛計画大綱の見直しの年。周辺地域や国際社会の変化やテロや海賊といった新たな脅威に対応し今後のわが国の防衛のあり方を議論してゆく。わが国の平和と安定、そして国民の幸福のための覚悟を示してゆかねばならない。
 



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