9月。

今日から9月かぁと思いながら、衣替えって9月?10月?と、毎年言ってる気がすることを今年も言いながら、学生時代、制服着ていたころはそれで把握していたのだけれどと、今年もやっぱりそう思う。


そんなわけで、9月の空想タイムです。

何書こう…と、ぼんやりした頭で、昨日のブログで触れた、月のキレイに見える夜の空想物語を思い出しながら。



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月がキレイに見える夜だった。

大切なものを無くした夜で、奇妙な出会いをした日で、僕は今でも忘れられないでいる。

道端でいきなり声をかけてきて赤い瓶をくれたその女の子で、そのあとしばらく僕の部屋に来ていて、テーブルに溢れんばかりの小瓶を置いて行った。彼女はそれをお薬と言い、色の違いでいい夢が見られるとか、涼しくなるとか、よく眠れるとか、縁結びだとか、可愛い絵が書けるとか言っていた。

初めて会ったときの赤い瓶は、写真に撮って待受にしていたけれど、どの瓶もずっとクローゼットの中に置いていた。

その子は、いつもボストンバックからたくさんの瓶を取り出してして、だからそのバックの中身がいつの日か変わる日を願っていたのだけれど、僕は結局彼女に新しいボストンバックをプレゼントした。クローゼットに置いてあった瓶を入れて。あの赤い瓶の写真は今もアルバムにあってたまに見たりもするけれど、あの日のことを忘れないように紙に焼いて部屋に飾っている。

月を見るたびに彼女を思い出していたころもある。今もたまに思い出す。でもあれからもう、10年だ。あのころのようには、思い出せない。


今夜も月がキレイだ。

僕が1番欲しかった瓶は、月色だった。

僕は今でもたまに思い出す。あの月色の瓶を。何の薬だったのかなと、思いながら。