ユンソンが声を小さくして、囁くように言った。
「秘密を共有する仲ではないですか。」
「・・・・・・!」
この人は!(この両班(ヤンバン))!その秘密(ピミル)という言葉、言わないでくださいってば!
ラオンは反射的に辺りを見回した。
「心配しないでください。誰も入って来る人などおりません。」
ユンソンが親しげに微笑んだ。打ち解けているような態度がまるで十年来の友達であるかのように自然だった。おかげで、今日一日でラオンはユンソンのことがとても気楽になった。
こんな親和力なんて、うちの花草邸下(ファッチョチョハ)にこそ絶対に必要な能力なのに・・・。
ヨンを思い浮かべるなり、自然と、あの融通性のない冷たい表情が浮かんできた。ユンソンとは全く対照的な表情だった。ヨンが吹雪が打ち付ける冷たい冬だとしたら、ユンソンは花咲く温かな春の日だった。こんな穏和な空気をほんの少しでも邸下(チョハ)の心臓に植え付けたいなどと考えつつ、ラオンは椅子に腰かけた。椅子に座った途端、疲れがスッと解けた。
あぁ、生き返ったみたい。
椅子の背に深くよりかかっていると、ユンソンの声が耳元に聞こえて来た。
「ところで、世子邸下(セジャチョハ)はまだ女人の顔が見分けられないようですね。」
ユンソンの淡々とした一言に、ラオンはびっくりして身体を起こした。
「ご存じだったのですか?」
「もちろん知っておりました。」
なに?花草邸下(ファッチョチョハ)が女人の顔を見分けられないことは、まさか、宮中の誰もが知っている公然たる秘密じゃないの?どうして宮殿には秘密というものがないの?
「いつまでそうして立っているつもりですか?」
ユンソンがにっこりと笑うと、椅子をとんとんと叩いた。ラオンが再び椅子に座るなり、彼女の気持ちを読んだかのように言葉を続けた。
「王世子邸下(ワンセジャチョハ)の些少な欠点を知っている人はそんなに多くはいません。私はそれに、幼い頃から王世子邸下(ワンセジャチョハ)と親しかった為、偶然知ったのです。おそらく、その事実を知っている人は、私とホン内官を含め、五人もいないのではないでしょうか。」
「そうなのですか?」
なぜだか、気分が良かった。親しい人を全て含めても、たった五人しか知らないヨンの秘密を、自分がしっているということが、ラオンは幼い子供のように気に入った。
「邸下(チョハ)はどのような方だったのですか?あの方だったら、幼い頃も今のように氷のような冷気を漂わせていらっしゃったのでしょうね。」
「そんなはずが(クロリガヨ)。邸下(チョハ)も、他の子どもたちと変わりなかったですよ。幼い頃は、よく声を出して笑われて、悔しいことがあれば、オイオイ泣いたりもされたのですよ。」
「まさか。」
花草邸下(ファッチョチョハ)が声を出して、笑っったり泣いたりされただなんて?
ラオンはとうてい想像もできなかった。
「本当ですよ。一度、このようなこともありました。世子邸下(ワンセジャチョハ)と邸下のペドン(世子の遊び相手として傍に仕える子供のこと)、それから、私。こんな三人が、こっそりと宮殿を抜け出したことがありました。あらゆる冒険をして、問題もあったりなんかして、新しい友達も作り、時間を過ごしていたのですが・・・・・帰り路で、ばれてしまったのです。」
「そんな!それでどうなったのですか?」
「当然、大目玉を食らいました後で知ったのですが、邸下(チョハ)が突然消えてしまったため、宮殿はそれはもう、大騒ぎになってしまったようで。それ以降、王世子邸下(ワンセジャチョハ)には、影武士が必ずつけられるようになりました。名目は世子邸下の安全を守ると言うことですが、事実は、また言わずに消えてしまうことを未然に防ぐため、一種の監視です。」
「まさか今でもそのように監視されていることはないですよね?」
「分かりません。表向きには、隙のない徹底したお姿ですが、聞くところによると、最近も時々子供のようなお姿も見られると。」
まさに、その時だった。
「チェ内官!」
東宮殿(トングンジョン)摂理を探すヨンの声が屏風の中まで聞こえて来た。ユンソンが、ふっと、笑った。
「まさに、今のようにです。」
ラオンは慌てて屏風の外へと走って出て行った。
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来たよ―――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「チェ内官!!!」
って・・・(笑)
誰を呼んでるの(笑)(*´艸`*)素直じゃない~~~・・・。
ユンソン、どんな人なんでしょうね?ちょっとした、ヨンの秘密まで知っていました~☆
大人げないヨンに、
ぷっと笑っちゃうユンソン(笑)(笑)
ヨンが出てくると、一気にヨンになっちゃうけど・・
ユンソンのラオンの操り方も、相当、主役級になれるギャップあるSでしょう??≧(´▽`)≦