ミョンオンは目を光らせた。握りしめた指が、手のひらに食い込んで痛かった。しかし、何も感じなかった。
「畏れ多くも私を騙したのか?私を弄んで?」
震える声を聞いた瞬間、千里の断崖から落ちていくように、頭の中が遠くなった。キムの坊ちゃん(トリョン:若様)の頼みで書いた恋文で違いなかった。同じ内容の手紙など書いたことがないから、他の人であるわけがなかった。
大変なことになった。
代わりに恋文を書く仕事を始めた時から心配していたことが起こったのだ。
ところで・・・・おかしいわ?キムの坊ちゃんと恋文をやり取りしていた人、花草書生(ファッチョソセン)じゃなかった?そうじゃないなら、花草書生(ファッチョソセン)の正体は一体何なの?
もつれた糸のように、頭の中が複雑だった。その時、呆然と立っていた彼女の顎先に、冷たい剣先が迫ってきた。
「どなたの御前だと思って畏れ多くも頭を上げているのか!」
「はい?」
「公主媽媽(コンジュママ)でいらっしゃる。すぐに(タンジャン)頭を下げないか!」
耳元に聞こえてくる晴天の霹靂のような声に、ラオンはどんな小さなうめき声すら口から出せなかった。
公主媽媽(コンジュママ)?公主媽媽(コンジュママ)ですって?
ラオンの脳裏に、これまで宮殿で聞いた話が走馬灯のように駆け巡った。
「公主媽媽(コンジュママ)がどこかの名門家のお坊ちゃま(トリョン)と書簡を送り合っていたとか。ところが、突然そのお坊ちゃんから書簡が途絶えたので、お可哀想な私たちの公主媽媽がついに恋煩いにかかられたんだよ。だけど、公主媽媽へ書簡を送った者は実は、その名門家のお坊ちゃんではない、他の者だというんだと。一言で言うと、代筆者が恋文を公主媽媽へと送ったということだろう。」(十六.彼らが生きる世界(下・4)一部訂正済み)
じゃあ、キムの坊ちゃん(トリョン)が恋文を送っていた人って、他でもない公主媽媽(コンジュママ)・・・・?そしてその代筆者というのはまさに私で?
「ありえない(マルド アンデ)。」
ラオンが悲鳴のような独り言を呟いた時だった。
「御簾を上げよ。」
低い声と共に、ラオンと公主の間を遮っていた御簾がゆっくりと捲りあげられた。
やがてラオンの目に公主の姿が映し出された。
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ちょっと当分は、休み時間等にアップできる分量だけでアップしますね~σ(^_^;)
パソコンが治ったので今はそちらからだけど・・夜座る余裕が・・・ない。( ̄_ ̄ i)
短くてごめんなさい~★
誰かの肩で休みたい・・・(*´ω`*)