十七.チャン内官の心配(5) | のあのあlife

のあのあlife

『雲が描いた月明かり(구르미 그린 달빛)』に史上最強にどハマリしてしまい♡2017年も自分の勉強兼ねて原作小説を翻訳しつつ、パク・ボゴム君とキム・ユジョンちゃんのボユカップル、密かに熱烈に応援中です~♡(笑)
2021年4月、またこのブログ再開します☆

「何、そんなに難しいことではない。簡単にもらうことのできる方法ですよ。」

「ですから、その、簡単な方法とは、どうしたらいいのですか?」

「すぐに召喚内侍たちに、講經(カンギョン:経書の中のくだりを暗唱すること)があるじゃないですか。」

「はい。今月末にあります。」

「そこで壯元(チャンウォン:科挙や試験などで首席合格、首席だったもののこと)となった召喚内侍には、家に一日帰っても良いように、通符(トンプ)を発給するのが内侍府の慣例です。」

「・・・・・。」

それが簡単な方法なのですか?

「その方法以外はないのですか?」

「それ以外には・・・・ないです。なので、確実に宮殿の外に出たいのであれば、勉強をしなさい。勉強。」

結局、他の方法はないという言葉。講經(カンギョン)で壯元になれということ、それ以外ではお母さんとタニに会うために宮殿の外に出ることはできないんだ。だったらそれくらい、するしかないでしょ。講經(カンギョン)!お祖父さんのおっしゃることには、精神一倒何事不成だと。精神統一さえすれば(精神を一ヶ所にだけ集めたら)、できないことなんてあるものか。だけど・・・・。

しなければならない勉強量を考えたラオンは、たちまち暗い顔になってしまった。

果たしてうまくできるかしら?

チャン内官が肩を叩くと、勇気を引き出してくれた。

「ホン内官。あまり心配しすぎないでください。文字をいくつかだけ覚えればいいのに、難しいことがありますか?」

「それではチャン内官様は何度も壯元になられたのですか?」

「私は・・・・・。」

そっと席から立ち上がったチャン内官が言い訳するように付け加えた。

「家より宮殿が好きな人なので。ははは。」

チャン内官が、喉の奥が見えるほど大きく笑った。

「・・・・・・。」

ラオンは遠い空に視線を向けて、チャン内官の笑いから顔を背けた。

 

 

***

 

 

同じ時間、庭園に軽い散歩に出ていたヨンは、強張った顔でその場からぴくりとも動かなかった。彼の目は、遠くの岩陰で、チャン内官と話を交わしているラオンに集中されていた。

「なぜよりによって・・・。」

ここで奴と出くわすのだ。

ここは宮殿で、宦官のラオンが宮殿内を歩き回るのは全く変なことではなかった。しかし、なぜよりによって、この時間、この場所にアイツがいるのだ。ヨンは、なんとか顔を背けた。しかし、すぐにヨンの視線はラオンへと向かった。見ていると面白いやつだった。女人でもないにも関わらず、しきりに目を引くところを見ると、不思議だった。奴を見ていると、自分でも知らないうちに、どんどん笑みが浮かんでくるのだから。

しかし、それではだめなのだ。彼は血も涙もない、冷たい人でなければならなかった。奴によって、彼の長年の計画が台無しになってしまうようで、気が楽ではなかった。しかし、身体を回したヨンは、ふと自分が唇を触っているという事実を悟った。これはどうしたって、不可抗力ではないか?

「ユル。」

ヨンは空に向かって低い声を出した。静かに考えを整理するために出た散歩だった。周囲を守るのは、世子翊衛司(セジャイクウィサ)の右翊(ウイク)ハン・ユル一人しかいなかった。彼の静かな呼び出しに、赤い武官服姿の男が出てきて、頭を下げた。

「お前ならどうする?」

「何のお話でしょうか?」

「向き合うに難しい相手が生じたとき、お前ならどうするのだ?」

主君の問いに、ユルは慎重に目を上げた。

「小臣(ソシン)であれば・・・・。」

自分の主君の視線を追って、目を移したユルが、言葉を続けた。

「戦わなければならない相手ならば、力いっぱい戦うでしょう。そうしても駄目ならば、流れに順応しなければならないでしょう。」

「そうだろ?こんなに避けて通っても、しきりにぶつかるならば、男として、向かい合って打ち勝つことこそ、正しいのだろう。」

ヨンは、ラオンに向けた視線を戻して、明快に口ずさんだ。今まで靄のかかってたような頭の中が、一瞬で冴えてきた気分だった。避けることができないならば、立ち向かって勝ち抜くことも一つの方法であるはず。それでも駄目ならば・・・・。

そう、たまには・・・とても、たまには・・・風が吹くのに身を任せてみるのも悪くはないだろう。

東宮殿に戻って行ったヨンの顔に、軽い笑みが描かれた。

 

 

************************************

ふっふっふ

いやはや。そうかそうか。

 

一人、自分の都合のいい方向に向かって笑みを浮かべるヨン(笑)

 

持っている写真の使いまわしで失礼(笑)