翌朝、書筳(ソヨン)の為に誠正閣(ソンチョンガク)へと来ていたヨンは、もう一度、寝所へと戻った。忘れたものがあると言い訳をしたのだが、実は別の思惑があった。ホン・ラオン、ソイツに会いたかったのだ。賢明に掃除に熱中しているラオンを思い浮かべたヨンは、寝所の扉を開いた。その向こうの寝所の内側に、緑色の内侍服がちらちらと動いた。寝所の中へと入るヨンの口元にはくっと笑みが浮かんだ。
今日はどうしてやろうか?
悩んでいた時、ずっと後ろ姿だけ見せていた宦官が、人の気配に慌てて振り返った。
「お前はなんだ?」
瞬間、ヨンの口から冷たい声が飛び出した。振り返った宦官の顔、それが、期待していたラオンの顔ではなかった。
こんな奴いたのか?
初めて見る見知らぬ顔の宦官が慌ててヨンへと向かって頭を下げた。
「小人(ソイン)、チャン内官と申します。」
「して?」
「はい?」
「お前がなぜここにいるのだ?」
「あ!お忘れでございますか?小人(ソイン)、昨日世子邸下から特別にお言葉を賜った・・・・。」
チャン内官が十本の指をぱっと広げて見せながら言葉を続けた。
「手際のよい内官にございます。」
一瞬、ヨンの顔が、硬く強張った。その前でチャン内官が子供のようにからからと笑った。
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チャン内官強者!(笑)
にまにま・・・。
↓
「・・・・・。お前誰だよ・・・・!?」