さんざめく宴会の雰囲気が辺りを埋め尽くしていた。靑陽府夫人(チョンヤンプブイン)の誕生日を祝うために、府院君(プウォングン)キム・ジョスンの屋敷には、朝から敷居が擦り切れる程多くの人々が押し寄せていた。
しかし、府夫人の誕生日を祝うと言うのは口実に過ぎなかった。宴会に出席した人の大半は、安東金氏(アンドンキム氏)一族、または、府院君(プウォングン)大監(テガム)にへつらうために集まった人々だった。別門から進んで来る長い長方形の部屋の中に集まっていない彼らは、競い合ってでもいるかのように、キム・ジョスンへと甘美な言葉を並べ立てた。お世辞を言わせたら右に出る者のいないソン内官が、手をこまねいているわけがなかった。
「府院君大監と府夫人様(マニム)の安泰を祈祷させていただきます。」
ソン内官が府院君に酒杯を捧げた。
「ありがたいな。ソン内官。宴会料理を宮から準備してくれたと聞いたが?」
「府夫人様(マニム)の誕生をお祝いする宴会ではないですか!小人(ソイン)、自分の身内のように想い、誠心誠意を尽くして準備させていただきましたが、もしや大監様(テガンマニム)の御目に適わぬのではないかと心配でございました。」
「コイツ。私の目に敵うかどうかは関係ないではないか。こちらに神経を使ってくれるものの気持ちが重要なのではないか。」
満足気な顔で、酒杯を空けたキム・ジョスンがソン内官と目を合わせながら言葉を続けた。
「聞くところによると、今日私の屋敷で意地の悪い悪さをしたと?」
一瞬、その場にいた皆の視線が二人に集中した。ソン内官の顔に、戸惑う様が浮き上がった。
「悪さですと?小人(ソイン)が畏れ多くもどなたの御前で私的な悪さができるというのですか?」
府院君が笑って、若い顔を嫌悪して、もう一度尋ねた。
「若い内官に、私の屋敷の裏山の山鶏を捕えよと言ったのでは?私が何か聞き違えたのか?」
「あぁ、その話でございましたか?」
ソン内官がようやく小憎らしい笑みを口元に浮かべて頷いた。
「そのことでしたら、大監様(テガンマニム)の仰る通り、小人(ソイン)、少し意地の悪いいたずらをさせていただきました。」
「そうなのか?はっはっは。しかし、その山鶏ども、一年を念入りに育てた山鶏の中でも最高の山鶏どもだ。やがて朝鮮へ来る清の使臣たちを接待するために、全国津々浦々に人をやって、ようやく手に入れた奴らだ。荒々しい上、すばしっこさは並みの奴らではない。身のこなしの速い俊敏な狩人ですら、捕まえるのに苦労する奴らなのだ。幼い内官の腕前では一羽も望めないことだろう。」
「アイグ~。そこまでして手に入れた貴重な山鶏を殺すように命じたので、どうか私を殺してください。」
ソン内官が大げさに震えると、府院君が首を横に振った。
「気にするな。私が高い金をかけてようやく手に入れた鶏ではあるが、今日のような日には一、二羽くらい、出してもよいだろう。」
「幼くて柔弱な奴なので、一羽捕まえられるかも分かりませんよ。」
「そうか?しかし、どうしてそのような意地の悪いふざけたことをしたのか?」
「申し上げるのが恐縮ではございますが、その子は前判内侍府事(チョン・パンネシブサ)の推薦で入った子なのでございます。自分の後ろ盾を信じたせいなのか、やたらと楽で簡単なことだけを選んでしようとするもので、これを機に、変な癖を直しておかなければ、いつまでも災いの元となり得るのでございます。」
府院君はチッと舌打ちをした。
「上下もわきまえない無知な奴なようだな。昔も今も、そんな者はいるものだ。ついでにその悪い癖はきれいに直してくれ。」
「そんなわけで、小人(ソイン)、山鶏を百羽捕えよと命じたのでございます。」
「十羽でもなく百羽とな?これはこれは、その若い奴は今日ようやくまともに苦労してみるのだな。」
「今回のことで、世の中の怖いもの知らずの無鉄砲者に、空がどれだけ高いのかを分からせるのでございます。」
「どれ。空が高いだけだと気付くだろうか?空が黄色く見える(絶望した状態のこと)ようになるだろうな。はっはっは。」
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早くヨンが見たいな・・・☆と。
楽しくなるのはもうちょっと・・・お待ちください~