六.資善堂の怪人(上・1) | のあのあlife

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『雲が描いた月明かり(구르미 그린 달빛)』に史上最強にどハマリしてしまい♡2017年も自分の勉強兼ねて原作小説を翻訳しつつ、パク・ボゴム君とキム・ユジョンちゃんのボユカップル、密かに熱烈に応援中です~♡(笑)
2021年4月、またこのブログ再開します☆

ラオンは、陸に上がった魚のように、身動きできぬまま、目だけ瞬かせた。梁の上に腰かけた幽霊が、彼女を見下ろしていたのだ。

 

(*かっこいいビョンヨンのイラストです♡原作は、本当にビョンヨン、ユンソン、ヨンがとにかくかっこよくてときめきますよ!!!(♡ >ω< ♡)誰にしようかともう迷って決められないほどに!!

http://m.novel.naver.com/webnovel/detail.nhn?novelId=126772&volumeNo=6#nafullscreen

 

やっと日暮れだというのに、もう闊歩する幽霊がいるなんて。宮殿は、雑草すら普通ではないから、あの幽霊も、宮殿霊でちょっと変わっているのかしら?

「ふぁぁ。」

幽霊が長くあくびをした。

不思議。幽霊も、あくびをするんだ。

「なんだ?なんだってそんなに見るんだ?幽霊でも見たのか?」

あ!言葉もしゃべった。でも、幽霊だって、喋れない理由なんてないわよね。その口は飾ってあるわけじゃないんだから。

感心している間に、幽霊が大梁から飛び降りた。幽霊だからそうなのよね?かなり高い場所にも関わらず、猫みたいに身軽に床に着地した。

「お前、何だ?」

幽霊が、めんどくさそうな声で聞いてきた。一瞬、ラオンはばねのように身体を起こすと、叫んだ。

「消えろ!幽霊!」

ッコン!ラオンの頭に、幽霊が栗を当てた。

「あいたっ!」

「まだ人を幽霊みたいに見るつもりか?」

幽霊、いや、男の言葉に、ラオンが目を丸くした。

「人・・・ですか?」

「お前の目には俺が幽霊に見えんのか?」

人として見るには目つきがあまりにも涼やかだった。さらに、血でも含んだように赤い唇に、真っ白な顔色が、まったく現実味を感じさせない。

ラオンは、手を伸ばしてその男の顔に触れた。少し冷たかったが、体温が感じられた。男の顔半分を隠している前髪を覆っている感じも、男から伝わる風の香りも、とても鮮やかだった。

「本当に、人ですか?」

ラオンは上下に黒い服を着た男を見上げて尋ねた。しばらく前に出会った草花書生と同じくらい、背の高い男だった。そう言えば、最近出会う若い男たちは、すっかりこのようにすらりとして偉そうな男たちだけだ。

これは、福(福)なの?じゃなければ、災い(災難)なの?

「ちゃんと迎えるならしっかりしろよな?」

「でも・・ここには誰もいないと言っていたのに・・・。」

チャン内官の言葉を思い出しながら、ラオンは独り言を呟いた。どうもおしゃべり宦官が間違えていたようね。ところで・・・・。

「どちら様ですか?」

なんだか最近、偉そうな男に会うたびにこうやって聞いてる気がする。これが習慣になるんじゃない?

「そういうお前は誰だ?」

ラオンの問いに、男は顎を使って問い返した。

「今日から資善堂で暮らすことになりましたホン・ラオンと申します。」

「ずっと前からここにいるキム・ビョンヨンと言う。」

「あぁ、キム内官ですね。」

瞬間、ビョンヨンから、恐ろしく睨みつける目つきでラオンを睨んだ。

「俺が内侍なんかに見えるって?」

「内侍なんか、ですって?内侍になるのがどんなにも大変かご存知ですか?見た目はおかしく見えるかもしれませんが、内侍なんかになるためには命すらもかけなければならない事実をご存知なのですか?」

もちろん、ラオンには当てはまらない話だが。ラオンは、内官を軽視するビョンヨンに向かって、精一杯の目で睨みつけた。その怒った目つきを受けたビョンヨンが、ふとラオンの服装を見た。そうして、上からの目線で言い放った。

「内官か。ともかく、俺はお前のような人ではない。」

「では、どんな人ですか?」

「知るか。」

「・・・・・。」

この男!

青筋を立てたラオンをさくっと無視したビョンヨンは今までラオンが横になっていた場所で横になった。きょとんとして立っていたラオンは、彼の足元へと中腰で座った。

「あの。」

「・・・・・。」

「ずっと前からこちらにおられたとおっしゃっいましたが、今後も引き続きこちらにいらっしゃるんですよね?」

「転がって来た奴が、先にいたお方をどかそうと言っているように聞こえるが。」

「決してそんなことはありません。それでは、私は今後、どのようにお呼びしたらよいですか?」

「何て呼べばだと?」

「内官でないならば、なんの役職をされていらっしゃるのですか?」

「俺の仕事をお前になんで教えねばならん?」

「役職を教えてくだされば、なんてお呼びしたらいかが分かるじゃないですか?」

宮殿では、全ての人々を、その人が与えられている役職で呼称しなければならないと学んでいた。

「呼ぶことはない。」

「え?」

「どうせ長くいることはないんじゃないか?」

「一寸先も分からないのが人のことだとおっしゃいました。」

「・・・・・・。」

「あの・・・・。」

「キム ヒョン(金 兄)」

「はい?」

「キム・ヒョンとでも呼ぶとか。」

「キム・ヒョンとですか?」

「・・・・・・。」

ラオンの問いかけに、ビョンヨンは面倒だとでもいうように、また横になった。もう話しかけるなという断固とした拒否。しばらくの間、その後ろ姿を目だけでちらちらと見守っていたラオンが、何か言いたいことがあるように、ビョンヨンを呼んだ。

「キム・ヒョン。」

「・・・・・。」

「このようにお話するのが申し訳ないのですが、布団がどこにあるのかご存知ですか?」

「・・・・・。」

「キム・ヒョン。」

「かなり面倒になるな。」

依然として背を見せたまま横になっていたビョンヨンが、つま先で向かい側の壁を指した。

「あっちが戸棚だ。」

ラオンは急いで、押し入れ戸棚の扉を開けた。中には、古くはあるが、なかなか使えそうな布団数枚が静かに畳んで入っていた。ラオンはその中でも一番きれいな布団を持って、ビョンヨンが横たわっている場所にまた戻って来た。そうして、ビョンヨンを呼んだ。

「キム・ヒョン。」

「俺は布団は必要ない。」

「そうじゃなくて・・・。」

ビョンヨンはゆっくりとラオンに向かって寝返りをうった。重要なことでなかったらただではおかないと言わんばかりに、彼は怒った目つきでラオンを睨んだ。目つきでやりこめようとするビョンヨンの勢いに、思い切り気を押されたラオンは、辛うじて口を開いた。

「その場所、私の場所なのですが。」

私の背中で温めておいた場所ということです。

『なんだ?こんな奴がいるか?』とでも言いたげな目つきでラオンを見上げたビョンヨンが、のろのろと、身体を中側に移動させた。たちまちもう一人寝る場所ができた。

「私にそこに横になれということではないですよね?」

「・・・・・・・。」

「恐れ入りますが、私は見知らぬ人と共に寝たことがないのです。」

例え、事情があって内官服を着ていようとも、中身は厳然たる女人だった。それも、ちょうど満開になり始めた成熟した女人。それなのに、どこでだからとむやみに、男と寝ることができようか。ラオンが、断固とした表情で、首を振った。

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ついに♡ビョンヨンの登場でした~♪

原作ビョンヨン、すっご~~~く、かっこいいんですよ!!!!

 

楽しみにしてくださいね♡

1/4文章訂正しました・