三. 私は何になると言ったっけ?(1) | のあのあlife

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『雲が描いた月明かり(구르미 그린 달빛)』に史上最強にどハマリしてしまい♡2017年も自分の勉強兼ねて原作小説を翻訳しつつ、パク・ボゴム君とキム・ユジョンちゃんのボユカップル、密かに熱烈に応援中です~♡(笑)
2021年4月、またこのブログ再開します☆

「本当にそれで終わりだったのか?本当に・・・。」

キムの若様は信じることができないという表情で尋ねた。

「はい。坊ちゃん(トリョンニム)。」

着ていた道袍(トポ)と翡翠色のタプホを綺麗に返して、再び自分の服に着替えたラオンが、申し訳なさげな顔で、首を縦に振った。どうしてもキムの若様に合わす顔がなかった。別れを先に告げたのはキムの若様だったので、このような言葉を伝えたと謝る必要は全くないにもかかわらず、申し訳ないと言った。キムの若様の目に帯びた衝撃の色を見ると、果てない気持ちに、頭が限りなく下に落ちた。

「ほ、本当か?本当に、そのようにおっしゃったと言うのか?」

キムの若様が信じられないという表情で尋ねた。

「はい。お坊ちゃんの気持ち、大事にするとおっしゃいました。今までの想い出は永遠に忘れないとおっしゃいました。」

これ以上はキムの若様の気持ちを傷つけることはできなかった。結局、ラオンは白い嘘を選択した。こうでもして、自分の弱い心が、少しは慰めてもらえたら、そうしたかった。

予想できなかったのはキムの若様の反応だった。ラオンの言葉が終わるや否や、キムの若様が両手をむんずと掴んできた。

「ご苦労だった。」

「え?」

何なの?この想像しなかった状況は?

「本当にご苦労だった」

今まで青く血の気の引いていたキムの若様の顔に、安堵の色が出てきた。

あの方が・・・・あの方が、あんなにもす尊貴な方だと誰が知っていただろうか。私の目が、しばらく精神から離れて行った。そのように高貴な方とも知らずにお見かけし、畏れ多くも恋文を送ったとは・・。

恋文を送った人が、至厳なる王様のたったお一人の金枝玉葉の御身でいらっしゃったという事実を知るようになってから、キムの若様はただため息一つ、することができなかった。このまま滅門の災いを受けるのではないかと心配すると、手足がぶるぶる震えた。いや、まともに息もすることが難しいほどだった。そして、会いたいという連絡が来た時には、それはまるで天が崩れるようだった。会って、どのように何を話せばよいというのか。どうにかすれば今までの嘘までばれる恐れがあった。今まで恋文を書いたのが自分ではないと知られれば、鋭敏な公主様がどう出るのか怖かった。

悩んだ末に、サンノムを代わりに送り出した。恋文数枚で、公主様の心を虜にした奴だから、運が良ければこの事態を解決できるかもしれないという、まさに一縷の可能性だけを信じて、サンノムを送ったのだ。もしやコイツが拒否するかと、会う人のことも触れなかった。それなのにこんなに簡単に終わるとは。キムの若様は、詰まっていた息がぽんと抜ける気持ちだった。

「ご、ご苦労だった。本当に、苦労をかけたな。」

キムの若様が傍を守っているチェ・マルムに目くばせすると、やがてチェ・マルムが手のひらほどの大きさの絹の袋を取って戻って来た。虚空に揺れる巾着の中でじゃらじゃらとしたお金の音が聞こえた。

「これを受け取れ。」

キムの若様はラオンに絹の袋を渡した。

「これは・・頂きすぎです。」

思っていたよりも多い金額にラオンは当惑した。

「小さな誠意だから。」

二の足を踏んでいるラオンが、キムの若様にもう一度尋ねた。

どうしてこんな風でいらっしゃるのですか?

恋慕した人と別れた男なら、普通は落ち込んでいたり、それもなければ少しは残念な様子でいるはずなのに、どうしたことか、キムの若様は、死地から行き帰った男のように、安堵していた。

頂けるお金なので受け取るには受け取らせてはもらうけれど、何か疑わしい。しかし、余計な好奇心は災いを自分に招く方法だ。知っていいことならば、もっと早くに知らせたことだろう。ラオンは、急いで好奇心をしまい込んだ。

「それではこれで席を外させていただきます。」

「そうせよ。今までありがたかった。」

もうこれで恋文を書くこともないので、会うこともなくなった。目礼をしてくるキムの若様と別れたラオンは、チェ・マルムについて別棟の裏口から出た。

「ご苦労だったな。難しいことを頼んだので、坊ちゃんが高く価格を見積もったという事実を忘れないでくれ。そして今日あったことは、絶対に、口の外に出してはならない。万が一の寝言でもあってはならない。分かるな?」

扉を締める直前、チェ・マルムが釘を刺すように呼び掛けた。

「ご心配なされないでください。もうすでに私の口に千鈞の重りをつけました。」

最後の約束を後にして、ラオンはキム進士所有の青い松林道を逆の方向へと出て来た。それから、ふと足を止めると、懐に入れておいたお金を取り出してじっと見た。キムの若様の誠意としてラオンに渡したお金はなんと三十両だった。

「このお金があれば、春の端境期を越す準備をしても、私の母とタニ、きれいな春の服を一着ずつ用意することができるわ。」

ラオンは、母の古い木綿の服が、いつも気にかかっていた。ひょろっと育ったタニの、手首の明らかに見える色とりどりのチョゴリも、すごく気になっていた。昨夜に豚の夢でも見たっけ?思いがけなく続いた棚ぼたに、ラオンは明るい笑いを噴き出した。この世に羨ましいことすらなかった。懐が温かいので、気持ちも気丈だった。心がぽかぽかとして、脚は飛翔するように軽かった。たったっ、飛ぶように走るラオンは、葉銭(ヨプジョン:真鍮で作った昔の銭の一つ)の包みを頭の上に投げた。チャランチャラン虚空に飛び上がる葉銭がぶつかり合って、聞き良い音がした。

ボンッ!やがて手のひらに定着した葉銭を、ラオンは愛おしそうに見つめた。コイツら、美しいやつめ。

かなり重厚にできた銭は手触りが気持ちよく、ラオンは、長い塀に沿って歩いている間、葉銭の束を投げては受け、それを繰り返した。

チャランチャラン。

良い音だ。

チャランチャラン。

ところで、花草書生はどうしてそうなったんだろう?

初めて会った時から気になっていた。あのように見た目も良い男が、どうして女ではなく、男を好きになるようになったのか?どんな女でも、手招きさえすれば、あの胸に飛びつくだろうと思えるほどなのに、どうして自然の理に逆らうことができるようになったのか?

チャランチャラン・・チャ・・ラン

ところで、本当に花草書生の人とならなくてはいけないことなんて・・ないでしょう?え~い・・まさか・・・そんなことはないわよね。

ラオンは、花草書生の羽毛のように軽い気持ちに、一縷の希望をかけた。そのように哀切なキムの若様との恋慕を、たった一瞬の間に消してしまった男だから、自分へと向けた一瞬の感情など、この夜が過ぎ去る前に消すだろう。胸の不安を捨ててしまったラオンは、葉銭の束を懐深く入れて、忙しく足を動かした。それなのに・・・

「さっきから後頭部がちくちくするんだけど・・。」

さっと、背を向けて松の森を見渡したが、誰もいなかった。

「気のせいかな・・・?なんにしても、すごく遅くなったわ。お母さん、とても待っていらっしゃるでしょう。」

 

 

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すんごく遅くなりました☆どんどん面白くなっていて(笑)二巻の方がやめられず(笑)こちらが進まず(笑)

 

早くそこまでいけるよう頑張りますね♪

さぁ・・ヨンと変な出会いしたラオンですが・・(笑)完全に、ヨンが男色だと勘違いしてますね(笑)

また、会う・・・んですよね(笑)もちろん♡今度はどうやって会うのでしょう??

 

1/4文章訂正済みです。