ええもんひとつ―とびきり屋見立て帖 (★★★)



幕末の京都で
道具屋“とびきり屋”を営む
真之介とその妻ゆず


文久3年 幕末の物騒な世の京
恩義がありお世話になっている
道具屋枡屋の主人喜右衛門から
意味ありげな「茶碗と扇子」を
夜市で競りに出すことを頼まれる


蓋の内側に「割符」のある茶碗は、
吉田屋の粋な女主人に150両という
破格の高値で落とされた


幕末ならではの秘密と謎が隠された
その「割符」の意味と
女主人の正体が徐々に明かされる



幕末の動乱の中
真之介とゆずが
道具を愛し店を守り
商人としてしたたかに生きる姿を
応援したくなる


“とびきり屋”に嫁いだゆずは
もとは老舗の道具屋のお嬢さん
その店の奉公人の番頭が真之介
そんな出会いと馴れ初めが
サイドストーリーで語られる


ゆずは決して威張ったり高飛車ではなく
いつも真之介を頼りにしてるけど
実は、ゆずの目利きと度胸と機転で
ピンチを切り抜けたり
チャンスをものにしたりしている
なんだかいい夫婦だなぁ



それに楽しいのは
この“とびきり屋”には、
幕末に名を残した志士たちが訪れる


横柄でわがままな芹沢鴨
陽気で天真爛漫な坂本龍馬
命を狙われている桂小五郎
桂を助けようとする幾松


戦う志士たちではなくて
どこか生活感のある
普段の様子をみているようで
身近に感じて楽しくなる


幕末だけど
ほんわか幸せ感じる
好きなタイプの小説