◎ 破戒 | を観た。~3行映画評~

を観た。~3行映画評~

日本映画を中心に。たまに見る劇場新作も。タイトル前の◎はオススメ○は見て損ナシ△は気をつけて⭐️はその年のベスト

破戒を観た。令和の島崎藤村は、良くも悪くも時代を反映している。池部良や市川雷蔵に負けない2枚目俳優間宮翔太郎の正直な芝居は作品に合っていて全く邪魔にならない。差別する側にも悪役は登場せず、昭和の頃に描かれてきた不当な部落差別への激しい怒りは鳴りを潜めている。石井杏奈は期待通りの演技だが、抑えの台詞表現はこれが限界か。同年代に比較すれば雑巾を絞れるだけ立派。登場人物の出番と降番が不自然だが、主人公の親友役、矢本悠馬は素晴らしい。告白後友人としての正直な動揺に泣けそうになる。本来なら出しろの多いはずの竹中直人、石橋蓮司、田中要次チョイ役扱い。個々のエピソード深掘りしないのも今風。市川崑版は鑑賞したのが昔過ぎて内容覚えていないが、本作と同じく静かな印象。現代の大道具小道具が一切使えない、百年前の美術再現見事。出演を悩んだかどうか知らないが、主演の若い二人にとって、長い役者人生の中で必ず意味のある一本となった事だろう。今の日本での映画化と、公開に敬意を表して、2022年劇場鑑賞第7位