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不快に感じられる表現が含まれています
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ベイ ・ グランド ・ ホテルの Bar
Trade wind ( 貿易風 )
黒のタンクトップ
黒のローライズデニム
黒のエナメルパンプス
全身に黒をまとった
吉川美南は
カウンターテーブルに頬杖をつき
マティーニのグラスを傾けていた
つい今しがたまで
“ 情報屋 ” との
濃厚な情事で火照った身体に
まるで媚薬のような
半透明な液体をそそぐと
ふたたび疼きだす …
オトコを愉しませた
豊かな乳房が
桃色に染まる …
シャワーで洗い流したはずの
オトコの体液が
どこからともなく
匂いたつ …
吉川美南にとって
SEX は
単なる
ツールにすぎなかった
10 年前の
あの事件 …
その手がかりを
得るための …
この身体を与えれば
オトコたちは
盲目的に服従する
たとえ
身命を賭すような
危険を冒しても …
そこに
恋だの
愛だのはない
ビジネスライク ( 事務的 ) だ
しかし
オトコたちは
独占欲にかられ
恥も外聞もなく
美南のまえで懇願する
俺だけを
愛してくれ !
今宵のオトコも
そうだった
使いふるされた
愛の賛辞をならべたて
必死に
美南の寵愛を
我が物にしようと
愛撫する
惚れた
腫れたは
もう
めんどくせぇンだよ …
多弁なオトコの口に
豊かな乳房をふくませ
黙させた
恋の至極は
忍恋と
見立て申し候 …
吉川美南は
そうつぶやくと
咥えた Salem に火をつけ
ため息をつくように
ふわりと紫煙をくゆらせた
今夜は
お疲れのようですね …
なじみのバーテンダーが
リーデルのグラスを拭きながら
白い歯をみせた
日に焼けた
太く逞しい腕が
黒光りする
そうね
“ 肉体労働 ” の
あとだから …
けだるそうな笑顔を
吉川美南が返すと
ほのかに
フローラルの
芳香がひろがった
from Noah ♥
本編を
楽しみにしてくださっている
みなさま
大変申し訳ございません
いましばらく
お待ちください