普通であること

「普通って、すごく幸せなことなんだよ…」



担当するようになって一年半、初めは口数も少なかった青年が、
今は笑えるような雑談や、心に思うことを話してくれるようになりました。


カーレース事故で頸椎損傷、重度の障害が残りました。


風邪気味で、タンがからむと、吐き出すのが苦労する、と話しながら、自分の指先でリモコンを操作して、ゆっくりベッドをギャッジアップし、上半身を起こします。


(^_^)

「こうやって体勢変えると、お腹に痙性（けいせい）がおきるんで、それ使ってタン出すんです。」


彼なりに考え出した方法でした。


【メモ】
痙性（けいせい）
受傷後、時間がたって慢性期に入ると動かせないはずの筋肉が、触ったり移動したりしたときに、自分の意志とは関係なく動いたり、痙攣を起こすこと



健康な時なら、“うん”と息を吐けばすむことですが、それができない…



「この体になって、まだ治るような気がして諦められない部分もあるけど…
普通って、
本当はすごく恵まれてたんだな～みたいな…」

どう生きたらいいのか、今も深く悩むことがあるという青年の言葉に

ちょっと答えに詰まってしまった…