もう一つの永久染毛剤である酸性酸化染毛剤は酸性の毛染め剤ですが、アルカリ性酸化染毛剤と同じく金属性色素を主成分としており、髪や頭皮への影響が心配されます。
そして、これら永久染毛剤のどちらにも名称に「酸化」とついているため、次に述べる酸性カラーと混同されてよくトラブルがおこります。
また永久染毛剤の「永久」とは、色持ちがいいから「永久」というのではありません。
それは、ひとたび永久染毛剤で髪を染めてしまったら、髪は二度と再び元通りには戻らない、という意味から来ています。
つまり全部の髪が新しく生え変わる以外、どんなヘアケアをしようと、毛染めで傷んだ髪はもとの健康な状態にはならないのです。
ですから生え際の毛が伸びてきたからといって毛染めを繰り返すのは、ますます髪を痛めるばかりか、せっかく生えてきた新しい毛まで台なしにすることになります。
一方、スキンファンデーションや爪のマニキュアと同じ「化粧品」分類である半永久染毛料は酸性・弱酸性の毛染めです。弱酸性カラー、ヘアマニキュアはここに入ります。
こちらは酸性染毛料の穏やかな化学作用で、色素を髪の毛の表面だけに吸着、吸収させて染める方法をとっています。
半永久染毛料は永久染毛剤と違って毛染めをしてもすぐ元の髪に戻るため、髪や頭皮を傷めることはありません。
またアルカリ性染毛剤の色持ちにはおよびませんが、弱酸性美容室で使っている弱酸性カラーの場合、一か月以上色持ちします。
しかし、アルカリ性か酸性か、この二つの違いは、単に色持ちがいいとか、発色いいとかで決めるのは間違いです。
発色効果を最優先するか、それとも髪の健康を優先するかによって、あなたの髪の将来が決まるといっても言い過ぎではありません。
髪とは一生のつきあいです。五年後、十年後に悔やまないためにも、もっと髪について知っておく必要があると思いませんか。
実際、私たちの美容室にやってくるお客様には、脱色、毛染めが原因の髪のトラブルが大変多いのです。
「髪が傷んだってどんどん生えてくるから関係ないわ。それに毎日スタイリング剤で整えておけばヘアスタイルも完璧だし」
と言っている人は、髪の毛を単に頭皮の上に生えてきている“モノ”としてしか考えていないのです。
その「どんどん生えてくるモノ」としての髪の毛は、ヘアケア製品で手入れをしてさえいれば本当に十分なのでしょうか。
答えはノーです。
それは単に一時的にツヤツヤ髪になったように見えるだけで、健康な髪になったわけではありません。
髪の毛は切っても痛くもなければ、血も出ません。
切ってしまえばそれは単なるゴミとして捨てられてしまいます。
しかし髪はモノではなく生きているのです。
どんどん生え変わるのは生きている証拠です。
髪と地肌との関係は、植物と土壌の関係とよく似ています。たとえば木を育てようとするとき、あなたは枝や葉っぱに肥料や水をやるでしょうか?
そうではないでしょう。丈夫に育てようとするなら、まず大切な養分を吸収するためのしっかりした根と栄養豊かな土壌作りから始めるでしょう。その結果として枝が伸び、葉はツヤツヤと繁ってくるのです。
それと同様に、健康な髪には健康な地肌と毛根が必要です。
地肌は傷めつけておいて髪の手入ればかりするのは、一生懸命枝や葉の見栄えばかり気にし、根や土はほったらかしというのと同じことなのです。
いずれは枯死寸前になってしまうでしょう。
「髪は死んでいるのではなく生きているのだ」と認識すること、それが私たち弱酸性美容の原点であるといえます。
★急速に老化がすすむ髪-その原因は何にあるか?
髪や地肌にダメージを与える原因としてあげられるものは、毛染めや脱色以外にもまだあります。
それは髪のためによいと思ってしているシャンプーや、髪を美しくしようとしてかけるパーマなどです。
よかれと思ってやっていることが、逆に髪を危険にさらしている、このことをみなさんはご存じでしょうか。
あるとき電車の中で素敵な老婦人に会いました。
白髪を薄いブルーに染めた髪が、薄紫の洋服によく似合って、思わず見とれてしまいました。
髪はおしゃれの最大のポイントです。
いつまでも美しい髪を保ちたいという願いは、どんなに歳を重ねても変わりません。
そして美容師にとっては当然のことながら、健康な髪ほど扱いやすく、ヘアスタイルも美しく仕上げることができます。
髪の美しさを引き出すには、健康な髪の毛であることが第一の条件といえます。
「髪にやさしい高級シャンプーを使っているし、髪によいというエキス配合のヘアケア剤も使っている。
美容院へも毎月行っているし、これほどこまめに、こんなにお金もかけて手入れしているのだから、髪の毛が傷むはずはないのに」
こんなふうにおっしゃるお客様は珍しくありません。
ところがそんな努力とは裏腹に、いろいろな髪のトラブルを訴えて私たちの美容室へやってくる人は年々増えています。
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全国には約二十万の美容室がありますが、その中で髪のトラブルに悩むお客様に「それはこういう理由なのです」ときちんと説明できる美容師はどのくらいいるでしょうか。
気をつけて手入れしているはずなのに髪の毛がなぜ痛むのか、髪を扱うプロであるならきちんと答えられなければなりません。
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先日もこんな相談を受けました。まだ二十代の若さなのに、シラガに悩む女性の方です。
「シラガって目立つんですよね。一本あるだけでもいやで、気がつくと抜いてしまうんです。
はじめはチラホラだったんですけど、最近はだんだん増えてきたみたい。これ以上増えたらどうしようかと思って……。
シラガは十代の頃からです。どうすればシラガが生えなくなりますか」
シラガになりやすい、なりにくいというのも遺伝的なことがかなり影響していると言われています。
それにしてもいま毛髪の「老化」は確実に低年齢化しています。
最近では男女を問わず、中学生や高校生でもかなり目立つぐらいにシラガのある人が多いのには驚かされます。
成長ざかりの若者たちにこれほどシラガが多くなっているのはなぜなのか。それにはいろいろな理由が考えられます。
アンバランスな食生活、人工食品添加物の摂取、大気汚染、食品汚染、学校や職場、その他いろいろな精神的ストレス。
それと前にも触れた安易な毛染めやパーマの繰り返し……などなど。シラガの低年齢化の背景には、社会や環境が深くかかわっているように思われます。
とはいえ、十代、二十代は新陳代謝が活発で皮膚にも潤いがあり、一生のうちでもっとも活動的な年代です。
だからこそ、若いうちから髪の健康に関心を持ち、正しいヘアケアを続けていけば、髪のトラブルはぐっと少なくなるはずです。
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