※こちらは『テーマ マジメ』のブログです。
『マジメになりきれない優月羽がマジメになるということ』として普段のアホさは捨ててます。
まあ・・・いろいろマジメなカンジでブログを書くつーか多分内容ほとんどどっかからか丸パクしてくるかもしれんので、突然優月羽がマジメになったわけでもないですが。
そのへんふまえて読んでいただけると助かります。
良い方は、先へお進み下さい♪↓
大人が泣くのは、現在と過去に生きているからだ。
子供が泣かないのは、現在と未来に生きているからだ。
『ある卒園式での出来事・・・・S先生の話』
3月に、幼稚園で卒園式が行われた。
S先生は、どこのクラスの担任ももっておらず、園務の補助をしていた。
卒園式では、進行をスムーズにするため、マイクの調節や、子ども達の出入りをみていた。
その年の卒園児に、ひとり、気になる子がいた。M君という子。こんな言い方はしたくないが、一番わかりやすい言葉を使うなら、いわゆる『問題児』と呼ばれる子。
M君は、先生の話は聞かない、すぐに教室を飛び出しどこかに隠れる、外に出て遊んでいつまでも部屋に入ろうとしない・・・・数週間前から行われていた卒園式の練習も、もちろんちゃんと参加なんかしていない。途中で抜け出したり、たまに列に並んでいても、わざとふざけて周りの進行を滞らせる。
卒園式の練習の補助もしていたS先生は、そのことをよく知っていた。
そうして、そういう状況のまま、卒園式当日を迎えた。
何かあってもすぐ対応できるよう、M君は担任の先生のすぐそばに並んでいた。
式が始まる。
来賓の挨拶、証書授与・・
S先生は、M君のことを見ていた。
ちゃんと参加していた。
練習までのあの行動はなんだったのか、と思わせるほどに、退屈な挨拶もしっかり聞き、名前を呼ばれれば大きな声で返事をした。
そして、式も終盤、卒園児全員での歌。
M君も声を張り上げ歌っている。
と、ふとその口が閉じられた。
S先生は、おや、と思った。M君の目が、少し光って見えたのだ。
はじめは、窓からの日差しの関係かな、と思ったが、そうではなかった。M君の目には、みるみるうちに涙が溜まっていって、ついにはポロッと頬に流れた。
M君は泣いていた。静かに、泣いていた。
S先生はすぐティッシュを持って駆け寄り、小さな声で訊ねた。「どうしたの、どこか痛いの?」
違う、と首を振るM君。
悲しい、と言う。
みんなとお別れするのが、悲しいと。
幼稚園や保育園の卒園式では、泣く子はほとんどいない。たまに、1人か2人、感極まって泣く子もいるのはいるが、それは稀だ。S先生は、何年もの経験から、それを知っていた。『お別れ』の悲しみを知るのは、まだ幼すぎるのか、次の“小学校”へのステップアップの喜びの方が大きいのか、たいていの子は泣かない。泣くのは、大人ばかりだ。
M君は、そのあともしばらく、『寂しい』『お別れしたくない』といって泣いていた。
見るたびに、先生に注意されていたM君。
部屋を飛び出して先生を困らせていたM君。
話を聞かずに、『アッカンべー』をしていたM君。
そして、いつだったか、『幼稚園なんて大っ嫌いだよーだ!』と言っていたM君。
S先生は、今までのM君を思い出して、胸が熱くなった。
S先生は、昨年、M君の担任だった。
自分はどれだけあの子を気にかけていた?
どれだけ、向き合おうとした?
『注意している』つもりが、いつのまにか『怒っている』だけになっていなかったか?
この両腕で、いったい何回、M君を抱きしめてあげられた?
卒園式のあと、M君はいつもどおりのM君だった。
園庭を元気に駆け回り、真っ白な靴下を真っ黒にして、はしゃぎ過ぎて転んでしまい、幼稚園生活最後のすり傷を作って、絆創膏を貼って、そうして、M君は帰っていった。
『せんせい、ばいばーい!』と、子供らしい笑顔を見せて、手を大きく振って。
S先生は、M君の涙を拭いた感触を、いつまでも忘れないだろう、と話していた。
忘れることはできない。忘れてはならないのだと。
6歳のこの子達が、本当の『お別れ』に涙する日は、『お別れ』の意味を知った日だろう。
この子達は、今は前だけ見ていればいい。
明るすぎて目が眩むような、前だけを。
