誰に望まれていなくても





年老いたブラウンの椅子は
あの人を待ってる


あたしは
黒髪を銀のハサミでまっすぐに切る


あの子は
ウサギのように白い肌にピンクのチークをひく


エメラルドの瞳をしたノラ猫は
あの時ちぎってしまったチェックのリボンが似合ってた


パステルでいたずらした小さな手は
夢見る色をしてた


楽譜のキライなピアノは
終わらない歌を歌った


食べかけのキャンディは
砂の粒で光をコラージュしてた


負けず嫌いの彼は
大人になってもコーヒーよりホットミルクが好きだった


寂しがりやの小鳥は
水鏡に双子がいるのを知っていた


魔法の使えない指先は
曇ったガラス窓に時間を止めてくれるおとぎ話を話した





昨日の雨粒より小さな種でも
また赤い実を作るから
“大丈夫だよ”って言ってくれた



誰に望まれていなくても


大丈夫だよ

あなたはステキ

世界は小さな粒で煌めいてる