“鬼喰らいの鬼”と通称された大禍鬼。その討伐部隊を率いるイェア・ガナッシュは、エルツァン島上陸後、陣設営に適した地形を探す為に、先遣となる探索部隊を素早く編成して派遣した。
 彼らが持ち帰った野営陣付近一帯の地形に関する情報は、まず長であるイェアに報告され、そして彼女を介して部隊内全てに伝わり、末端というよりは部外の五味の耳にも入っている。
 先遣部隊が持ち帰った情報は、野営陣を置く場合の判断材料としての視点で得られたものであるため、それ程広範囲のものではなく、正直探索の助けになるような話ではなかったが──それでも無いよりはマシだった。
 そんな又聞きの知識を掘り起こしつつ、五味はエルツァンの海岸を西へ。
 出発時、常駐軍が張った陣から選べる選択肢はそれ程多くは無かった。海岸近くに設営された野営陣から、西の浜を進むか、東の浜を進むか。その二つだ。
 南は海なので除くとしても、何故北が無く、西か東かの二択なのか。
 これは簡単な話で、先遣部隊が周辺地域を調査した結果、北東、北、北西の方角に大きな空間の断裂が場を囲うように発生しており、ほぼ行き止まりに近い構造となっているらしい。断裂によって袋小路状となったその地域一帯は野営地から近いということもあり、軍が調査を進める方向で決定。五味は別の方向から島内部の探索を進めて欲しい、という流れだ。
 その事について話してくれたイェアは、その断裂とやらを“地形や空間の非連続性”と言っていた。エルツァンが持つ──正確には土地概念に極端な歪みが生じている場合に発生する──特性の一つだという。イェアから受けた説明は専門的な知識の無い人間が聞いてもいま一つ理解し難いものであったが、極端に要約すれば通行不能の透明な──近づけば不透明化するらしいが──幕のようなものが道を遮っていて通れないと、そういう事らしい。
 彼ら先遣の部隊が手に入れた情報はたったその程度であったが、無駄足を踏むことを免れたのだから、先刻の「探索の助けになりそうな話ではない」という感想は撤回すべきなのかもしれない。そんな風な事を考えつつ、五味は歩く。
 浜を埋めるのは土色の砂。南には海が広がり、北の森は既に途切れて厳しい崖が聳える。空には数こそ少ないものの厚い雲が飛ぶように流れており、快晴とは言い難い。海からではなく、北の崖から吹き降ろしてくる風は少々強く、浜を走る際に砂を巻き上げて少々煩わしい。
 軽く周囲に視線を一巡させて、五味はふむと唸った。
 こうして島の外際となる海岸をてくてくと歩いていても仕方ないのは確かだ。あの鬼が海岸でぼけーと突っ立っている可能性も無いではないが、まあ、まず無いだろう。
 ならば、さっさと島の内となる北へと向かうべきだが──北に見えるのは正に絶壁といった調子の崖のみ。
 足だけは取り敢えず西へ動かしつつ、どうしたものかと五味が迷っていると。
「────」
 物音。それも、人が立てるような音ではなく、多足の大型生物が砂を走る忙しなくも重みのある音が耳に届いた。
(……亜獣、か)
 五味は武器を手に持ち、身構える。エルツァンを旅したカール・シュミットの残した手記では、エルツァンに生息する亜獣はコルトレカンやアノーレに棲む亜獣よりも更に強靭で、そして凶暴であるという話であったが──さて、どの程度のモノか。
 そう思考する間にも、物音とその主は五味へと近づき、派手に砂を蹴散らして眼前に姿を現す!!


vs 楽園の亜獣




エルツェナロブA
690/690 
エルツェナシェル
350/350 
エルツェナロブB
690/690 
五味
1156/1156 隠密
クォッチ
841/841 隠密
クレティウス
933/933 隠密
GEO
840/840 隠密
黒銃のノエル
900/900 
冒険家オリオール
980/980 再生
冒険家オリオールの攻撃!五虎陥穽!
クリティカル!
エルツェナロブBは102ダメージ!
クリティカル!
エルツェナロブAは95ダメージ!
クリティカル!
エルツェナシェルは65ダメージ!
光の力場が10になった
五味の攻撃!ホーリーウォーター!
エルツェナロブBは炎熱耐性が22減少!ウェット!
エルツェナロブAは炎熱耐性が22減少!ウェット!
エルツェナシェルは炎熱耐性が22減少!ウェット!
黒銃のノエルの攻撃!スパイラルショット!
エルツェナロブAは271ダメージ!リフト!
エルツェナロブBの攻撃!フラップテイル!
冒険家オリオールは53ダメージ!リフト!
2連携!
冒険家オリオールは81ダメージ!リフト!
3連携!
冒険家オリオールは113ダメージ!リフト!
光の力場が20になった
GEOの攻撃!プロテクションマインド!
冒険家オリオールは精神耐性が52増加!支配耐性!
五味は精神耐性が48増加!支配耐性!
黒銃のノエルは精神耐性が36増加!支配耐性!
GEOは精神耐性が31増加!支配耐性!
クォッチは精神耐性が31増加!支配耐性!
クレティウスは精神耐性が31増加!支配耐性!
エルツェナロブAの攻撃!フラップテイル!
冒険家オリオールは57ダメージ!リフト!
2連携!
冒険家オリオールは87ダメージ!リフト!
3連携!
冒険家オリオールは108ダメージ!リフト!
炎熱の力場が10になった
クォッチの攻撃!ディヴァイントランス!
クォッチは252ダメージ!
クォッチは同調が252増加!
クレティウスの攻撃!エンチャントウェポン!
冒険家オリオールはアウェイク!
五味は魔力が59増加!アウェイク!
黒銃のノエルは魔力が47増加!アウェイク!
GEOは魔力が39増加!アウェイク!
クォッチは魔力が36増加!アウェイク!
クレティウスは魔力が36増加!アウェイク!
エルツェナシェルの攻撃!
黒銃のノエルは74ダメージ!



力場: 炎熱 10  光 20
エルツェナロブA
324/690 
エルツェナシェル
285/350 
エルツェナロブB
588/690 
五味
1156/1156 隠密
クォッチ
589/841 隠密
クレティウス
933/933 隠密
GEO
840/840 隠密
黒銃のノエル
826/900 
冒険家オリオール
481/980 再生
光の力場が30になった
五味の攻撃!キュアライト!
五味はなんともない!
クォッチは252回復!
冒険家オリオールは499回復!
GEOはなんともない!
黒銃のノエルは74回復!
クレティウスはなんともない!
炎熱の力場が20になった
クォッチの攻撃!フレイムスクイーズII!
エルツェナロブBは706ダメージ!ドライ!
エルツェナロブBは倒れた!
冒険家オリオールの攻撃!ヒーリング!
冒険家オリオールはアウェイク!
光の力場が40になった
GEOの攻撃!エンチャントウェポン!
五味は魔力が97増加!アウェイク!
クォッチは魔力が66増加!アウェイク!
冒険家オリオールはアウェイク!
GEOは魔力が67増加!アウェイク!
黒銃のノエルは魔力が58増加!アウェイク!
クレティウスは魔力が63増加!アウェイク!
エルツェナロブAの攻撃!ツイストシザー!
黒銃のノエルは119ダメージ!
黒銃のノエルの攻撃!プリシジョンショット!
クリティカル!
エルツェナシェルは219ダメージ!リフト!
クレティウスの攻撃!スロウ!
エルツェナロブAは荷重が23増加!
エルツェナシェルは荷重が23増加!
エルツェナシェルの攻撃!クロージングシェル!
エルツェナシェルは防御力が150増加!スタン!



力場: 炎熱 20  光 40
エルツェナロブA
324/690 
エルツェナシェル
66/350 
五味
1156/1156 隠密
クォッチ
841/841 隠密
クレティウス
933/933 隠密
GEO
840/840 隠密
黒銃のノエル
781/900 
冒険家オリオール
980/980 再生
冒険家オリオールの攻撃!ブレスウェポン!
冒険家オリオールは攻撃力が34増加!アウェイク!
五味は攻撃力が29増加!アウェイク!
GEOは攻撃力が20増加!アウェイク!
クォッチは攻撃力が20増加!アウェイク!
黒銃のノエルは攻撃力が23増加!アウェイク!
クレティウスは攻撃力が19増加!アウェイク!
光の力場が50になった
五味の攻撃!ブレスウェポン!
2連携!
冒険家オリオールは攻撃力が116増加!アウェイク!
2連携!
五味は攻撃力が156増加!アウェイク!
2連携!
GEOは攻撃力が16増加!アウェイク!
2連携!
クォッチは攻撃力が102増加!アウェイク!
2連携!
黒銃のノエルは攻撃力が124増加!アウェイク!
2連携!
クレティウスは攻撃力が100増加!アウェイク!
光の力場が60になった
GEOの攻撃!ブレスウェポン!
3連携!
冒険家オリオールはアウェイク!
3連携!
五味は攻撃力が40増加!アウェイク!
3連携!
GEOはアウェイク!
3連携!
クォッチは攻撃力が103増加!アウェイク!
3連携!
黒銃のノエルは攻撃力が33増加!アウェイク!
3連携!
クレティウスは攻撃力が91増加!アウェイク!
炎熱の力場が30になった
クォッチの攻撃!レヴァンテイン!
2連携!
エルツェナロブAは2973ダメージ!
エルツェナロブAは倒れた!
黒銃のノエルの攻撃!アサルトショット!
エルツェナシェルは567ダメージ!
エルツェナシェルは倒れた!


YOU WIN


 現れたのは大型の海老と貝の化け物だ。海老は尾で地面を叩いて跳ね回り、貝は殻を器用に振り回して襲い来る。
 一際高く跳ねた海老が大きく腕の鋏を振るうのを、五味は腰を落として回避。すれ違い様に、甲殻の薄い腹に攻撃を叩き込み、前へと転がる。そこへ待ち構えていたかのように高速で振り回された貝の殻を何とか受けて、勢いを失った殻に近距離からの連撃。貝の動きが止まったのを確認してから、最後に残った海老を慎重に屠る。
 息をついた五味の前に転がるのは三つの亜獣の死体。体液に塗れた武器を払って仕舞う五味の内に、素直な感想が湧き上がる。
(難敵、とまでは言わないが……)
 いやはや、中々強い。少なくとも、ランドリートやコルトレカンでそれなりに名の通っていた亜獣達に匹敵する強さだった。
 五味は小さな驚きと共に苦笑し、そこでふと考える。
 もし、このエルツァン島に生息する亜獣の全てがこれと同等か、それ以上だとするなら。
「…………」
 いやいや早計かと、五味は無意識に首を横に振って鬱になりかけた気分を払う。
 その懸念が真実となるか単なる想像で済むかどうかは、どうせ直ぐに判るのだから。わざわざ陰性の想像に身を任せて暗くなっていても仕方ない。
 それに、危ないからといって引き返す訳にも行かないのだ。兎に角、今の自分には進むしか道は無い。



 海岸の北側を埋めていた崖が途切れたのは、亜獣達との戦闘から一時間程西へと歩き続けた後のことだ。
 そこは水絶えた峡谷だった。
 枯れた底部に立った五味はぐるりと周りを見渡す。南北へと伸びる峡谷は奇妙なアーチ状の構造となっており、下部は幅百メートルは下らない幅があるにもかかわらず、上部の両岸の幅はせいぜい十数メートルという狭さ。故に空は閉じて暗く、まるで洞窟の中にいるような錯覚すら覚える。
 歩くと、ざりという乾いた音が響く。海に近い割に長い間水に触れていないのか、地の水分は失せて所々に僅かなひび割れすら見えた。
 それらを一通り眺め終えた五味は、この風景に合致する記述をカールの手記の内にあったことを思い出し、懐から取り出すとページを捲る。
 しかし、あまり参考になりそうな記述は見当たらない。この地形の誕生に関する考察やそれに類する事が大半を占められており、最後に飛竜の群と交戦し、そこで仲間を一人失ったという部分で、この峡谷に飛竜が棲んでいる事が事前に判ったのが唯一の収穫だった。
 音を立てて手記を閉じた五味は、改めて峡谷全体を眺める。
 一体どういう理屈でこういう形状になったのかは首を捻るしかないが、今そこに存在するものを否定しても仕方ない。何より、自分達はこの峡谷誕生の秘密を探りに来たわけではない。
 鬼を追い、鬼を討つ。
 それが、今の自分の役目。その事を五味は理解していた。

 <観察眼!>
 ──と。
 左右を埋める崖を何気なく眺めていた五味は、岩壁の一角に大きな棚がある事に気付いた。
 別段、その棚の上に登る必要などないのだが──登ってみなければ見えないモノもあるかもしれない。

1. 枯れた谷底を進む
2. オリオールに先導を頼む
3. 岩壁の棚へ登る

──See you Next phase──