リコルスの港で臨時便に乗り込んでから数刻。
 振り返ればまだコルトレカンの島影が見えるが、それも幾分霞んでしまい、細かい部分はもう判らない。
 陸で暮らす者には少々心細さを感じさせる光景だが、有り難いことに、目的の島はもう遠くはない。定期船の航路からも近く、本物の「海の恐怖」とは無縁な場所だ。重討伐指定された数少ない例外にさえ注意すれば危険も少なく、全くもって安全な船旅と云えた。

 やがて、船が濃い霧に直面した。
 何時の間にか乳白色の海霧は暗く冷たそうな海面を覆いつくし、辺り一帯を雲海のごとき光景に変貌させていた。いよいよ問題の海域に突入した徴だ。
 程なくして、前方にぼんやりと薄墨を流したような影が浮かび上がった。目を凝らせば、付近にはゴツゴツした黒い岩影が幾つも確認できる。そろそろ上陸の準備をした方が良いだろう。



 到着の報せを受け、五味は船から岩礁に降り立った。
 島としては極小で、面積の半分以上を占めるであろう岩礁の広がりは、潮の加減で大半が海に没しそうだ。
 中心部には小さな丘が緑を茂らせており、その麓に石で組まれた入口らしきものが口を開けていた。
 間違いなく、あれが件の遺跡だろう。

 近付いてみると入口はかなり大きく、人間はおろか巨人ですら労せず通ることができそうだった。
 内部はいきなり下りの階段になっており、どうやら地上にあるのは入口となる小部屋だけと見える。
 白い壁は天然の洞窟のようにも思えるが、大小の石を器用に組み合わせた石畳は明らかに人工のもので、明かりや換気に何らかの機構が設えてあることを期待させる。
 ただ、半ば予想通りではあるが、外と同じく内部も霧で満たされているようだ。見通しが利かないのは少々難なので、慎重に進む必要があるだろう。
 ともかく、まずは階段を下りてみよう。



 たどり着いた部屋は真円に近い形状で、降りてきた階段以外に、三方向に通路が延びていた。
 がらんとした室内には調度品の類は皆無だが、瓦礫のような残骸や冒険者の遺留品らしき物が時折見つかった。
 そんな中、一つだけ異彩を放つ物体を発見する。
 掌に収まるほどの小さな玉。装飾品だろうか、用途は判らないが……とりあえず持っておこう。

五味が八朱の令玉を手に入れた。

 この部屋には、南東、東、北東に続く通路がある。
 道はいずれも深い霧に包まれていて、先を見通すことはできないが……。
 <邪悪察知!>
 注意深く気配を探れば、通路にはそれぞれ、巨大な影、形容し難い影、動物のような影、が幽かに見え隠れしていることに気がついた。

 さて、どちらに進むべきか。

1. 南東へ
2. 東へ
3. 北東へ
4. 諦める

──See you Next phase──
いざ九玉宝殿へ。
五味 Lv66 パラディン
クォッチ Lv66 シャーマン
クレティウス Lv66 シーフ
GEO Lv66 ドルイド

罠鍵解除も邪悪察知も観察眼もしっかり付けてきました。
一回目は単純に踏破を目指します。