ペンペン様へ
金曜日は、忙しい中、時間を作ってくれてありがとう。
いつもいつも強引で、
なんだかんだと理由をつけては結局、自分の意志を押し通してしまう、
そんな私につきあってくれてきた貴方は、やはり優しい人なんだと思います。
貴方と出逢ってもうすぐ1年がたとうとしています。
色々あったよね。
自分が貴方に恋していることに、初めて気づいた夏。
メールのやり取りを繰り返し、始めは仕事の用件ばかりだった内容に
次第にパーソナルな話題が増えてきた夏の終わり、
始めて、食事に誘った。
アナタが喜んで誘いに応じてくれたことに、
私がどれほど舞い上がっていたことか! きっと貴方には想像もつかないよ(笑
デート中は、「緊張しています」 なんて云っていた、普段礼儀正しい貴方から、
まさかその日に、いきなりキスされるとは思ってなかったけれど。
思えばあの時、私はまだ恋の入り口に立っていただけでした。
その後に起こる数々の事件のことなど、想像もしていなかった。
結婚して子育てに夢中だったこの数年間、恋愛から遠ざかっていた私は、
『恋愛の基本』 を忘れていたかもしれないな。
ここ数回の恋がどれもこれも簡単に私の手に落ちていたから、
傲慢になっていたのかもしれません。
(落ちるまでは簡単で、その後崩壊するのも早かったけどね^^;)
恋愛の基本。
それは、相手を思いやること。
私がもっと貴方のことを、貴方の気持ちを思いやってあげることが出来てたら、
きっと、あんなことにはならなかったのにね。
2度目のデートの時、忙しい仕事を終えその足で駆けつけてくれた貴方に
酷いこと云ってしまった。
貴方が怒っていることにようやく気づいて、謝ったけれど、貴方は私を許してくれなかった。
あの日は私も精一杯強がって、さっさと貴方に背を向けた。
反対方向に歩き始めた貴方の背中を、追いかけていきたかったのに。
そんなことがあっても、どうしても諦められなくて忘れられなくて、
私の素直な想いを伝えたくて、最後のチャンスにかけた12月の終わり。
「もう連絡しないつもりだったけど、無理だわ。 だって私はまだ貴方のことを好きだから、
もっと貴方を知りたいから。
だから多分、これからも電話をしてしまうけれど、許してね」
貴方は私に微笑んでくれた。
穏やかに会話をして、ハグして別れた。
とても寒い日だったけど、もう一度チャンスを手にした嬉しさで、
外苑西通りを広尾から恵比寿までスキップしてったんだよ、私。 (アホだね。爆)
『もう焦ったりしない。 ゆっくりと、時間をかけてお互いを知っていこう』
そう決めた。
あなたから年賀状が届き、メールが届き、その度に嬉しくて嬉しくて。
バレンタインはフライングで1週間前倒し。
私の手描きのカードを、すごく褒めてくれて照れくさかった。
『ダンデライオン、ですね。 ボクが獅子座だから?』 と微笑んだ貴方の顔を、
もう絶対一生忘れないでいようと、その時思った。
そして、
私の誕生日。
思いがけず、花束を貰った時は、頭が真っ白になって。
でも、照れ屋の私はそんな自分の嬉しい気持ちを上手に表現できなかったかもしれない。
でも、本当に本当に、嬉しかったんだよ。
こうやって、少しずつ、近づいていければいい。
ゆっくりとお互いを知っていければいい。
そう思っていたのに・・・
あの、『お花見事件』。
あの女の子の登場と数々の発言に、私がどんなに心を乱されていたか。
でも貴方には、そんな私がいつものお酒好きの明るい女にしか見えなくて
花見に誘われたことを単純に喜んで感謝して、私にお礼なんて云って。
私もニコニコ、「楽しんでもらえてよかった」なんて。 そんな心境じゃないのに。
そして訪れた、『決戦の金曜日』
今にして思えば、お互いの真意がことごとく相手に伝わらないという悪循環が出来ていたんだね。
それは、私の心の中で、貴方に対する憤りや怒りの感情のフィルターが出来ていたから。
2人で話したかった席に、当日、予告なしに自分の親友を加えた。
それが更に、私の怒りに火をつけた。
貴方の行きつけのお店で、貴方と仲の良い店員さんの目の前で、
貴方につめより、怒りをぶつけた。
あれは、まずかったなぁ~、我ながら。
ま、時すでに遅し、ですが。 後悔役立たず・・・じゃなくて先にたたず。
・・・でもその後も何度か2人で会うことは出来た。
本当はもっともっと言いたいことがあった。 ちゃんと説明したい気持ちがあった。
でも、いつもいつも、上手く話が切り出せずに。
他愛のない会話を交わし、別れる、その繰り返し。
そんなある日、気づいたんだ。
恋愛関係をスタートさせるのが、もう不可能だってこと。
だから。
最後に会って、引導渡して欲しくて、完全に終わりにしたくて、貴方を呼び出した。
それも自分勝手な理屈だけどね。
終わらせたいなら、自分ひとりでさっさと終わりにすればいいのに。
いつもは穏やかなのに、あの夜はむしろ貴方の方が感情的だったね。
そうさせたのは、きっと私。
貴方に、「自分は責められてる」と思わせる行動を繰り返してきたのは私。
「・・・前にも言いましたけど、彼女(花見の子)がなんでそんなことを貴方に言ったのかわかりません。
ボクがあの人を花見に連れていったのは、貴方が『お友達もぜひ』と言ったからじゃありませんか。
ただの友達なんだから、ボクが誰を花見に連れていこうと、ボクの自由でしょ。
気に入らないことがあったなら、その時に言ってくれればいいのに!」
・・・いえるわけねーじゃん。
そう思いながらも穏やかに、
「わかってる。 その通りよ。 貴方が誰を連れてこようが、貴方の自由だわ」
(・・・違う人連れてきてくれればよかったのに)
「あの子のことなんて、別にどうでもいい。 あの子と貴方が付きあっていようがいまいが、
どっちだっていい。 でも貴方が『つき合ってない』というのなら、きっとそうなんでしょう」
「・・・ボクはね、本当に忙しくて、友人達とも滅多に会えないんですよ。
最近ボクが一番頻繁に会ってるのは、貴方です。 それだって、ボクは『会いたくない』と思ったら
ぜったいに会いませんよ」
・・・でも積極的に会おうと誘ってはくれないよね。
それは、わかるんだ。 それが悲しくて、辛い。
「こんな話なんて、楽しくない」 と貴方。
そう。 楽しくない。
「楽しくないわね。 私だって楽しくないのよ。 私はあなたともっともっと楽しい話がしたかった。
だけど私、このままじゃどんどん楽しくなくなる。 だから・・・」
貴方に振ってもらいたくて、来たんです。
「・・・『リセット』したんじゃなかったの? なんでそういう話になるの?
僕たち、まだ何も始まっていないじゃない」
そう、何も始まっていない。
だから、もう無理なのよ。
それが、貴方に伝わらない、それがどんなに辛いことか、貴方にはきっと判らない。
だから、終わりにしたいんだ。
最後に貴方は怒ったように、こう言った。
「君がどうしてもそうしたい、というなら、もう会わなくてもいいですよ」
あなたの腕に手をおいて、小さな声で呟いた。
「ごめんね」
無理ばかり言って、ごめんね。
我儘でごめんね。
貴方の想いを踏みにじって、ごめんね。
貴方の顔を潰すようなことばかりして、ごめんね。
でも・・・
本当はそんなこと、したくなかったんだ。
大好きな人なのに、大切な人なのに、その人の迷惑になることばかりしてしまう。
そんな自分が好きになれないから。
だからもう逢わない方がいいと、そう云いたかったんだ。
黙ってしまった私に、あなたは最後にこう言った。
「・・・恋ジャーさんの気持ちは、わかっていると思います。
・・・僕もきっと、悪かったんだと思います」
お店を出た。
外は雨。 初めてのデートの時も、雨だった。
いつもは手をつないでくれる貴方が、この日は手をつないでくれなかった。
それが寂しくて、悲しくて、でも当然だとも思っていて、
西麻布の交差点で別れ際に、思わず、
「・・・今日はハグしてくれないの・・・? あ、こんな場所じゃ、嫌か・・・」
躊躇いながら呟く私を、可哀想だと思ったのかな。
私を抱きしめてくれた。
バイバイ。
歩き出した私に、少しふざけたような、でも優しい口調で、
「これからまた、どこかへ寄るんですか?」
立ち止まり、振り返り、にっこり笑った。
「今日は、このまま帰ります」
さようなら、ペンペン。
いつかまた、どこかで貴方に会えたなら、その時こそ。
とびっきりの笑顔で、貴方に笑いかけて、
楽しく話をしたいね。
たとえそんな日が永遠に来なかったとしても、
きっときっと忘れないよ。
問題集みたいな恋だったけど、楽しかった。
きっと次は、貴方よりもっと最高の相手を見つけて、最高の恋をするんだ。
そして、これからのあなたにも、
素敵なことがたくさん、ありますように。
心から、
ありがとう。
最後に・・・
ごめん、私、嘘ついた。
あの後、また飲みに行っちゃった(爆
だって、ひとりで泣いてるより、仲間と楽しく笑いたかったから。
新しい髪形、大好評だったんだから!
「あ、しまった、いい女だったのに」 って思っても、もう遅いからね~、残念でした(笑
とりあえず、元気だよ。
なんか私これからも、こんな感じで、進んでいけそうです。
恋ジャーより
