脚の筋力低下が進み、今までソファから一人で立ち上がれたのに、とうとう介助無しに立ち上がれなくなった。


立って歩くのも危なっかしい足取りで、とにかく転倒しない事だけ意識していた。


にもかかわらず、先日トイレから定位置のソファに戻る際に、フローリングの敷物の端に足が取られ、膝が折れてフローリングに頭を強打してしまった。


あっと言う間の出来事だったが、膝を少し擦りむいたのと、おでこにタンコブが出来ただけですんだ。


私が倒れた為にアップルウォッチの緊急SOSが作動し、消防署につながってしまったが、救急車は断った。


しかし、倒れた私を嫁さん一人では立たせる事が出来ない。


やむなく斜向かいのお世話になっている私よりも年上のTさんに来てもらい、何とか立ち上がる事が出来た。


Tさんとはよく一緒に釣りに行ったり、Tさんの家でよく飲んだりしていた。


私がALSになってからも、よく柔らかい料理を自分で作って差し入れしてもらった。


いざと言う時に頼りになるご近所さんがいるのは心強い。


それにしても、倒れた私を2人がかりでも立たせるのは簡単ではない。


今後の事もあるので立ち上がりの補助が出来るベルトを購入しておいた。



後ろから脇を持って立たせるより、介護ベルトの様に腰の位置に持ち手がある方が、簡単に立たせる事が出来るはずだ。


出来れば使わずに済む様になれば良いが、これだけはどうなるかわからない。


歩いてトイレへ行く事を諦める日はそう遠くないだろう。



急激な衰えにとてもじゃないが私の心は追いつかない。


人間の本能として、急で大きな変化は脳が拒絶するので当然だろう。


早く進行する方が長く苦しまなくて済むので、このまま一気に駆け抜けてしまうのも悪くはない。


とは言え自分の意思でコントロール出来るものでもないので、成り行きに任せるしか無い。


悟りの境地に到達するにはあまりにも未熟で心のざわつきはこれからも続くだろう。