この病気(ALS)になってからはAmazon PrimeやNetflix で映画やドラマを見る事が多くなった。
知らない映画はレビューを見て決める事もあるし、見た後でも他の人がどう感じたのか参考になる事は多い。
レビューの評価で良くあるのは、ごく一部の人による批判的なレビューだ。
いつも思うのだが、批判的なレビューを投稿している方は、自分の知性や感性の低さを棚に上げて、というより自分の知性や感性の低さを暴露している事に気づいていない。
自慢げに批判するのは滑稽だ。
映画の場合、監督になったつもりなのか、あのシーンは不要だとか、主人公のセリフはダメだとか、ストーリーがおかしいとか好き勝手に言う。
私は好きな映画やドラマは何度も見る。
何度も見る事で、それまで気づかない事に気づく事が必ずあるからだ。
カメラアングルや何気ないシーンに意味がある事に気づくと、この映画で表現したかった事がわかるようになる。
作り手は表現したい事をいかに伝えるかを追求しているプロであり、適当に作っている訳ではない。
作り手の意図を少しでも理解しようとすれば、違った見え方になるのに残念だ。
こんな事を思うようになったのは、先日「PERFECT DAYS」を見たからだ。
この映画は公衆トイレ掃除の仕事をする主人公(役所広司)の日常を描いたもので、ストーリーも単調だ。
わからない人にはわからない映画の典型だと思う。
事実、「つまらない」とか「何が言いたいかわからない」と言うレビューも多い。
見る人によって感じるものが違うし、実に示唆に富んだ映画だ。
この映画では昨日と変わらぬ今日が積み重なる日常だが、ALSになった今、昨日と変わらぬ今日ではない。
日々進行していく体調の変化に怯える毎日だ。
しかし淡々と過ぎていく日常と言う点では同じだ。
淡々と過ぎゆく日常に意味があるのかないのか?
この映画はあと何度見る事になるのだろう?