家から会社まで電車なら1時間はかかる。でもバイクなら30分で行ける。なのでどうしてもバイクで通勤するしかなかった。

 

かれこれバイク通勤は20年以上になる。最初は原付きバイクだったが、目視で確認していたパトカーにうっかりスピード違反で捕まってから、自動二輪の免許を取った。時速30kmで走り続ける事なんてできないし、ストレスしかない。最初は250ccのヤマハのマジェスティ、その後に400ccのマジェスティに乗り換え、最終的にはホンダの125ccのPCXに落ち着いた。

 

バイク通勤で困るのがトラックの整備不良の排気ガス。アクセルをふかすたびに大量の青い煙を撒き散らす。できるだけ早くやり過ごすため、追い越したり息を止めたり、とにかくあの臭い排気ガスを吸わないようにしていた。

 

30代だった若い頃、西丸震哉氏の「41歳寿命説」という本を読んで感化された。身の回りに化学物質がはびこる前、昭和初期以前の人たちが寿命を伸ばしているだけで、高度成長期以降に化学物質にまみれた人々の寿命は41歳になるというもの。実際はその本が出版されてからも日本人の平均寿命は上がりつづけているので、この説は正しくないということになるが、変に説得力があったので漠然と長くは生きられないかもしれないと思うようになっていた。

 

化学物質の塊のような青い排気ガスを吸うことに抵抗があるのはこの本の影響が大きい。

 

余談だが、西丸震哉氏の本はたくさん読んだ。山や怪談のエッセイがとにかくおもしろい。折に触れて紹介したい。

 

ALSの発症にはさまざまな要因があるが、20年以上もバイクで交通量の多い道路を週5日、往復で1時間以上も排気ガスを吸い続けた事が全く影響が無かったとは思えない。

 

とはいえ、バイクに乗ること自体は好きだったし事故のリスクも高いが、休日にあてもなくバイクで走ることでストレス発散に大いに貢献してくれたので後悔はない。

 

バイクが悪いわけではない。