高山と名古屋に行っていた娘が、土産を持ってやって来た。


赤福とか



飛騨すくなかぼちゃの濃厚生スイートポテトとか。


そしてもう一つ、みっふぃーおやつ堂で買った

はんかち枡ぼうろというのも。


よく観光地にあるミッフィーやそのお友達がお菓子になって売られているやつである。


これは自慢するために持って来た!


と娘が言う。


ほんとはママにも買ってあげようかなーと思ってたんだけれど、よく考えたら、飛騨ビーフバーガーはここ、高山ラーメンはここ、カフェはここ。

挙句の果てに、そのホテルに泊まるならコンビニはこことか、こんなにウンチク言ってくるんだから、自分で買えばいいじゃないと思って。


ウキウキしながらハンカチを解き、ミッフィーの顔のついた枡に入ったたまごぼうろを眺めて喜ぶ娘。


そうよね。

初めて高山行った娘に買って来てもらわなくても、仕事で年に何度も何度も行く私は、欲しけりゃ自分で買えばいい。


何もみっふぃーおやつ堂は高山にしかないわけではない。

各地にある。


娘は旅行が好きだ。

よく友達とどこかに出かける。

どーこだ?とばかりに家族LINEに写真を送りつけてくるが、鳥居やら背景を見て、私は即答してやる。


それにウンチクも垂れちゃう。

鬱陶しい通訳案内士の母。


娘は旅行が好きなので、就活前半は旅行関係を受けていた。

旅行会社や、エアラインや、ホテル予約システムのスタートアップなど。


旅行会社に入る人は、旅行が好きな人ではないんだよ。


私は言った記憶がある。


旅行会社とのお付き合いがあるからの実感だけではなく、遠い昔に自分が就活をしていた頃の周囲の結果も併せて。


結局は、彼女は旅行業界ではなく、国際物流業界にいる。

人ではなく物を飛行機に載せている。

母的に、そちらの方がはるかに向いていると思う。


では、旅行業界にいる私は?

やはり旅行が好きで入ったのではない。

英語を使う仕事で参入できるところを探して、ここに落ち着いて17年。

果たしてこの業界に本当に向いているのか?


もうすぐ繁忙期が来る。

何かを考える余裕もなく働き続け、また1年後に向いているのか問題を考えてみたい。


もちろん娘は、自慢だけしてミッフィー枡ぼうろを持って帰ったのだが、タグだけぽとりと落として行った。