私は主にグループツアーをしていますが、その合間にFITが入ります。
foreign independent tourとかforeign individual travelerの略で、つまりは夫婦、家族、友人同士などの個人客の仕事のことです。
新人の方達にグループツアーをアサインしようとする時に、よく言われることばが、これです。
FITならいいのですが、団体はまだ自信ありません。
が、経験を積んだガイドほど、違う答えになるはず。
FITは難しい、恐ろしい、怖い。
団体であれば、ガイドは、旅行会社が販売しているツアーをこなすことで、顧客満足を得ます。
全体に向かってマイクを持って語り、私の話を聞け。私に従えとリーダーになれます。
が、FITの場合は、お客様の個別の要望に応えるために雇われるのです。リーダーではなく、シモベです。
しかも昨今、ネットにあらゆる情報が溢れているにも関わらず、個人的にガイドを付けるというのですから、ネットを検索して考えるよりも、早く便利に案内し、時にネットにない情報を提供することを望まれます。
どちらが難しいと思いますか?
やはり私にとっても、FITが怖いです。
FITでは食事箇所も悩みの種です。
富裕層であれば、夕食はミシュランレストランなどの高級なお店を予約しています。
お昼は軽めに。または、お昼は軽食程度でというお客様が多く、しかもいきなり途中で、「そろそろお腹も空いたし、この辺で」と言い出すことが多いのです。
そういった不慮の事態に備えて、多くのガイドは日頃からレストランマップやリストを用意しています。
私は直感型右脳派なので、そういうwell-organizedされたことができないのですが、人様から伺った情報はGoogle mapに印をつけ、自分で気に入ったお店は心に留めるようにしていました。
が、コロナ以降はお店の変動などもあり、昨年2023は全てやり直しの年だったように思います。
この冬に情報を集め直している次第です。
今回は久しぶりに、スペイン坂鳥幸さんに行ってみました。
かれこれ10年以上ぶりです。
インターコンチネンタルにお泊まりのお客様が、今夜は高級店ではなく、堅苦しくない気軽なお店で楽しい食事をしたいと言い、コンシェルジュさんに予約をお願いしました。
そして大成功。
振り返ればとても複雑で微妙な案件で、あれは何だったのだ?と首を傾げてしまう、ガイド兼通訳案件でしたが、あの夜だけはお客様達が笑っていた。
今回はランチタイムに行ってみました。
焼き場をカウンターがぐるりと囲み、奥にテーブル席がいくつか。
オフィス街でもあり、ひっきりなしにお客さんが入ります。
ランチメニューが複数。
私は焼き鳥丼を頼もうとしましたが、もう売り切れで別のものにしました。
が、すぐに、内容少し変わりますが作れますと言ってくれました。
通常のメニューとどこがどう違うのか分からないまま美味しく食べてしまいましたが、こういうフレキシブルな対応は◎です。
何より、カウンター上にぶら下がったワイングラスが良いです。
日本酒人気ですが、まだお客様方は、ワインを選ぶようには日本酒を楽しんではいません。
一方、お寿司屋や会席にワインを合わせる方はいます。
となった時にガッカリなのが、ガラスワインしかない。ボトルで置いているけれど、チリとオーストラリアを各一本ずつ。そうですねーチリの方がまあ辛口ですかねーとかいうお店。
ちゃんとワインリストを持ち、しかも料理そのものは小難しくないシンプルで誰にでも分かる美味しさ。
できればセットメニューだけではなく、アラカルトで好きなものを少しずつ注文できて、個別リクエストにも応えてくれるお店。
となると、つい、権八やNOBUなど、ベタなお店に頼ることの多かった2023
レパートリーを増やしたいと思います。
良いお店があったらぜひ教えてください。