前に書いたことがあったかもしれないけど、私の友達にはプロのピアニストがいる。
もちろんコンサートや伴奏等の仕事はあるが、ピアノを教えていたりもしている。
その友達曰く、「好きなものを仕事にしたけど、それだけじゃ食べて行くのは大変」といつも言っていた。
実は先日も、彼女が演奏するプチコンサートに行かせてもらったんだけど、やっぱりプロってすげえ!
私とその友達はママ友なんですが、幼稚園の時、こんなことがあった。
幼稚園では年に数回、PTA主催のイベントがありました。
リトミックの先生に来てもらって親子リトミックをしたり、けん玉や竹馬などの昔の遊びを教えてくれる先生、茶道の先生等に来てもらって、親子で体験するイベントなんです。
もちろん、来てもらう先生には謝礼もするんですが。
ある時、PTAの会議でこんな提案があったらしい。
「ピアノ鑑賞会をしませんか?
ピアノは○さんが弾けるし、無料でしてくれるんじゃない?」
○さんとはもちろん、同じ幼稚園に通うママ友の○さんのことでした。
私は当時、幼稚園の役員ではなかったので、別の役員さんからその話を聞いたんですが。
その役員さんは、
「無料でというのは○さんに失礼なんじゃない?」
と、提案した役員さんにやんわりと告げたらしいけど。
「何で?言ったらきっとOKしてくれるよ。
自分の子供も通ってる幼稚園の行事なのに。」
と言われたそうで。
例えば、手芸が得意な人がいるとする。
その人に材料を渡して、
「うちの子のバッグと上履き入れと、お弁当入れ、作っておいてくれる?」
と、当然のように頼んでくる人がいる、という話をネットで読んだことがある。
ちなみにそういう人は、材料費は払っても、作ってくれた人への手間賃等は一切払わないらしい。
「得意なんだし、手芸が好きなんだから、いいでしょ?」
という考えなんだと思う。
世の中、意外とそういう考え方の人が一定数いると思う。
そのママ友のピアニストだって、ピアニストになるために何年も練習して、音大を出て、ここまで来るのにどれだけの努力をしているのか。
それを無料で簡単に使うのはどうなの?みたいなことは、私だって思う。
普段なら、彼女の演奏を聞くのにはお金が必要なのに。
もちろん全然OKの人だっていると思うけども。
前に読んだ本では、漫画家の保護者にPTA等から「おたよりのイラストを無料で数点書いてほしい。」とお願いされて、書いていたら、どんどんエスカレートしていって、行事の看板やポスターなんかも頼まれるようになり、手に負えなくなってきた、みたいな話が書かれていた。
そういうことになりやすいよね。
あの人、プロだから無料でやってくれるよ、みたいな。
結局、その幼稚園のイベントは、他の役員さんも「頼むなら平等に謝礼を出すべき」という意見が出たりで、話は流れたんだけども。
そのピアニストの友人の伝手を頼って、クラシック鑑賞会をすることになった。
来てくれた方はバイオリニストだったので、子ども達にもバイオリン体験とかもあって、とても楽しいイベントになりました。
もちろん、そのバイオリニストには謝礼を払いました。
そんなたいした額ではなくて、きっとボランティアに近い額だったと思う。
だけどそのバイオリニストさんは、きちんと正装してドレスで来てくれて、子ども用のバイオリンまで用意してきてくれた。
もし、そのピアニストのママ友がこのイベントを頼まれていたなら、これを全部無料でやることになったのか。
だとしたら、やっぱり失礼な話だなと思った。
もちろんそのピアニストのママ友は、その時の「無料で頼む」事件のことは知っていた。
「別にいいんだけどね、我が子の通う幼稚園だし。
でも、これを引き受けると、今後も何かと無料で使われそうで嫌だなとは思ってた。」
と、だいぶ経ってから教えてくれた。
いや、こういうパターンって、本当に多くあって。
子ども会のソフトボール大会で、毎回パンフレットの印刷や布の横断幕なんかを、無料で提供してくれる保護者がいまして。
その方は、自営で印刷業をなさってる家族でした。
もちろん我が子が出ていたから、してくれていたことなんだけど、そこのお子さんが卒業する際に、「印刷物の提供は今回で終わりにさせてください」との申し出があった時、周りの役員さんが「あの人ケチだね」と陰口をたたいていて、嫌な感じだった。
いや、当然のことだし。
子どもがいたから協力してたけど、子どもが引退したので辞退、別におかしくなくない?
あの印刷物等、けっこうな金額だったと思うのよ。
無料で提供してくれる親切に甘えるのは、本当によくない。
何が言いたいかっていうと、人のプロフェッショナルを無料で使おうとするな、ってことですよ。
個人的に何かを作ってもらうなら、材料費はもちろろん、手間賃もきちんと支払うべきだと私は思う。
私は人に提供するようなプロフェッショナルは何もないけど。
上で書いた、手芸の話。
あれに似た話は、本当によく聞くので