先日、職場の方と世間話をしている時に、ふと、変なことを思い出した。
それは職場の方が旦那さんの実家に、年末年始に里帰りしてたという話だったんだけど。
旦那さんの実家の地方は「民放が2局しかない」とのことらしく。
それを聞いた私は、20年以上前のいとこの話を思い出したのでした。
それはうちのいとこが短大生の時のこと。
違う大学に通う彼氏ができたんですが。
その彼氏が地方の出身で、
「お盆に帰省するから、一緒に帰らない?」
と、誘われたんだそうです。
いとこの母である叔母は猛反対。
何でまだ学生なのに、帰省に彼女を連れて行くのか。
そして、その彼氏の実家がけっこう離れた場所だというのも、叔母が気になった部分だったんだと思う。
もしこのまま結婚して、そんな遠くに嫁がれるのは寂しい、みたいな。
いとこは叔母に反対されてることを、私に愚痴ってたんですが。
反対されれば反対されるほど、燃えちゃってまして。
彼氏の実家はけっこうな田舎だという話だったんですが、いとこの実家もなかなかの田舎だったんで、「田舎の過ごし方は私が一番よく知っている」と行く気満々でした。
ですが、お盆が近付くにつれて、帰省話がちょっとおかしな方向に行きはじめました。
最初は、彼氏の実家に泊めてもらうとの話だったんですが、
「早めに帰省することにしたから、後から来て。
ホテルを予約してるから」
と言われたそうで。
それを聞いた私は、変な違和感を感じた。
「ホテルを取ってくれたのはまあいいけど、帰省に連れて行きたがってたんだよね?
何で先に行くとか、後から来てとか、ホテルに泊まってとかになっちゃってるわけ?」
と聞くと、
「なんか、彼氏のご両親があんまりいい顔してないみたい。
都会から彼女を連れてくるとかで。」
とのことだったんだけど。
確かに彼氏の通う大学は都会にあったけど、いとこの通う大学も家も、ものすごい田舎にありましたから
全然、都会じゃないし。
だけど、彼氏のご両親は、都会だと思って心配してたんだと思う。
今まで応援してた私も、「行く意味ある?」と言い出したんですが。
私まで難色を示すと、ますます燃え上がるいとこは「絶対に行く!」と頑なになるわけで。
そして当日、私ら親族が帰省で集まっている中、いとこは1人で彼氏の実家に電車で向かいました。
私もおじいちゃん家に帰省してたんだけど、ホテルから何度もおじいちゃん家にいとこから電話がかかってきて、
「今、ホテルにチェックインした」
「彼氏が夜に迎えに来てくれるらしい
実家でごはんを食べるんだって」
みたいな感じで、逐一、報告が入っていた。
が、しかし。
翌日の昼過ぎ、いとこは何故かおじいちゃん家に現れた。
2泊くらいすると聞いてたのに。
「なんかもう、嫌になって帰ってきた。
なんもないのよ、あそこ。
駅前のビジネスホテルに泊まってたんだけど、駅前なのにあんまり店もないし、18時になったらどの店も閉まるし。」
彼氏は19時頃に、ホテルに迎えに来てくれることになってたらしいんですが。
チェックインしてから、近くを散策し、テレビでも見ようと思ったいとこは、民放が1局しかないことに気付いて、愕然としていた。
NHKとNHK教育、そして民放1局。
その時もいとこは、ものすごい勢いで電話をかけてきました。
「信じられない。
テレビのチャンネルが3つしかない。
しかも、そのうち2つはNHK!」
いとこの住んでる地域は、田舎といえども民放5局が入る地域だったので、相当ショックだったらしい。
あれほど彼氏に会いたくてやってきた、この街なのに。
民放が1局しかない、という事実を目の当たりにした瞬間、いとこの恋心は砕け散った
彼氏の実家でごはんを食べたり、彼氏のお勧めの夜景のスポットなんかに出かけたりしたらしいけど。
もういとこの脳内では、どうやって帰るかとか、そのことばかりを考えてしまっていて。
そして、朝一番の電車に乗って、昼過ぎにおじいちゃん家に着いたらしい
その話を、他のいとこ達と聞きながら、大爆笑していた夏休みの思い出。
ずっと民放5局の地域で育っていた、田舎のお嬢様ないとこ。
いとこの家の周りにも何も店はないけど、テレビだけはふんだんに映る。
彼氏の実家で民放1局という事実を目の当たりにしたいとこは、一気に気持ちが冷めたみたいだった。
「私はここでは暮らせないと思った」
と言ってたけど、やっぱり将来の結婚も意識してたんだろうなあ。
だから、彼氏の生まれた地域に行ってみたかったんだろう。
さて、そのいとこの元彼の住んでいた地域、今は民放も増えて3局になっているそうです。
いとこ曰く、
「笑っていいともが夕方にやってた」
らしいです。
でも、東北に住んでた私の友達も、「笑っていいともは2時か3時にやってた」みたいな話をしてたっけ。
我が家も田舎とはいえども、民放5局映ってた地域だったんですが。
テレビっ子だった私は、別のいとこがカナダに何年も住んでた時期、
「日本のテレビが見れないなんて大丈夫?
DVDでも送ろうか?」
とか言ってたんだけど。
今はネット環境とNetflixがあれば私は、どこの国に住んでも生きていけるような気がする。