Sumashi Room 【Principle】

Sumashi Room 【Principle】

感動・涙をテーマに簡単に読める日記を
日々、アップします。

~Principle~

 
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出典:末並俊司,橋本玉泉,花山十也著「震災で本当にあった泣ける話」イースト・プレス社2011年10月1日発行


『幼いころからやんちゃ坊主だった良平(仮名)。


近所の悪ガキどもを束ねて、ケンカに明け暮れる毎日だった。

年上の不良たちに絡まれても一歩も退かない良平。


そんな姿を見て、仲間たちはさらに良平をたきつけた。

「俺たちでこの町をシメちまおうぜ」

徒党を組んで町を闊歩する良平。


警察の厄介になることも増えた……

そんなはぐれ者に世間は冷たい。


良平の心はすさんでいった。

自分のことをわかってくれるのは仲間だけだ。

そんなとき、高校を中退した先輩に声をかけられた。

「棲袈琉頓(仮)って知ってるだろ」

「はい」

「入れてやってもいいぞ」
「ほんとっすか」


地域で最大の勢力を持つ暴走族・棲袈琉頓。

近所の不良たちの憧れのチームだった。

仲間と暴走行為を繰り返し、小さな火種を見つけては、
喧嘩に明け暮れる毎日が始まった。


少しでも気に入らないことがあると、
人や物に当たるようになり、
高校も辞めてしまった。


良平にとっては族の仲間が全てで、

その他はどうでもよかった。


(東日本大震災発生。詳細略)

大震災によって地域の人たちが困っている。

なんとか役に立ちたい。


良平は、

被災地域のためにボランティア活動をする決心をした。


しかし、そのためには、

かつての仲間と決別しなければならないだろう。

族を抜ける際には、

メンバーからリンチを受けるのがしきたりだ。


それでも良平は、

地震後メンバーの無事を確認する集会で、

恐る恐る
「チームを抜けてボランティアをしたい」
という話を切り出した。


すると、意外にも良平の話に共感する者が多かった。


避難所で人の優しさに触れ、
ショックを受けたメンバーは

意外にも多かったようだ……


それからメンバーは、

それぞれボランティアを始めた。

良平は炊き出しの手伝いをした。

料理はほとんど経験がないので、
最初は悪戦苦闘ばかりであった。


これが人のためになっているかどうか

疑わしかったが、
炊き出しに並ぶ人たちからは

毎回毎回、

「ありがとう」
と言われた。


自分が今まで迷惑をかけた人たちから、
感謝されるなんて思ってもみなかった。

その言葉が、良平のさらなる力となった。


良平はこれから同じような境遇の少年達に、
一緒にボランティアを行うよう呼びかけていく……


4月17日、

茨城県大洗町を本拠地とする暴走族「棲袈琉頓」の

解散式が行われた。


総長の牧野良平は、
「今まで地域の人に迷惑をかけた。
今後、暴走行為は行わない」
という宣誓書を読み上げる。


そして「族旗」を署長に手渡すと、
町職員や警察官から拍手が送られた。


この拍手は暴走族が解散することに対するものではない。

彼らの新たな出発に対する拍手だった。


被災後に
42日間の休業から
復活した宮城県白石市の旅館
湯主一條」さんが
その実践例として素敵だったので
ご紹介します。

出典:内藤耕著「お客様を呼び戻せ!」P45 日経BP社 2011年12月5日発行



地震があったから品質を落としていい、
なんていうことでは通用しません……

料理長は
毎日、いろいろなところに電話をして、
食材の入荷状況や
品質を確認していました。

4月に入ったころから、
生魚が入り始めたという
情報が入ってきました。

そこでスタッフのまかない飯に、
さまざまな魚を使ってもらいました。

まかない飯を食べながら、
「このレベルではダメだな」
「これはいい」
と話をして、
自分たちで食べながら
食材の品質やコストを確認し続けました。
野菜や肉も同じです……

休業中、
料理長がこだわったのは
食材だけではありません。

まかない飯の調理も
手を抜きませんでした。

美味しいものを
スタッフに食べさせようと
考えてくれました。

そのこだわりはすごかった。

まったく妥協しませんでしたね。

料理の盛りつけも
素晴らしかった。

マーボ茄子を作ったとき、
チンゲンサイもゆで、
それで枠取りしてくれました。

料理長の品質に対するこだわりは、
休業中も衰えませんでした。

お客様にいい食事を出すのは
当たり前です。

しかし、
身内のスタッフにはどうでしょうか。

手を抜いてしまうことも
あるのではないでしょうか。

うちの料理長は、
本気でまかない飯を作ります。

まかない飯といえども、
料理人が手を抜いてしまうと、
それを見たスタッフが
「このレベルでいいか」
と思ってしまう。

そうすると、
自分たちのサービスの品質を
維持できなくなります。

とにかく、
「被災してるからいいじゃないか」
とは考えない。

まかない飯でも、
絶対に品質を落とさない。

まかない飯だからこそ、
逆に力を入れ、美味しい料理を出す。

愛情を感じましたね……

営業再開の初日、
1室を残して、すべて埋まりました……

人間は仕事があって、
はじめて生き生きとするんだと、
震災を通じて痛感しましたね。


出典:川上健一著「日めくり物語」小学館 2004年8月20日

「俺さあ、やりたいことがあんだぁ」
中学生の息子がぼそりといった。

初耳だった。

台風の接近で暴風が
激しく家に叩きつけていた。

停電になったのは9時すぎだったから、
もうかれこれ30分になろうとしていた。

1本だけあったちびたロウソクを食卓に灯した。

私と妻が座っていた食卓に、
高校生の娘、そして息子がやってきた。

2人とも1人でいるのは
不安になったのかもしれない。

普段会話のない家族なので、
みな押し黙って
ロウソクの炎をみつめている。

家族4人で
長いこと向き合うのは
久しぶりのことだった。

「わかんねえけど、
なにか将来は
物をつくる仕事してぇんだ。
人がつくった物って、
俺、何でもすげえって思うんだ。
マジで」

「それっていいじゃん」
茶髪の娘がいった

「わたしはさ、正直いって
何やっていいんだか悩んでんだ。
これが好きっていうのがないんだ。
でもさ、好きな彼氏はいるんだ。
つきあってんだ、同じ学校の先輩。
かっこよくないけど、
わたしのこと
ちゃんと怒ってくれるから好きなんだ」

これも初耳だった。

不思議に
私は穏やかに耳を傾けることができた。

妻も珍しく微笑をたたえ、
慈愛にみちた眼差しを
子供たちに向けていた。

妻が口を開き、
こんなことをいうと
また毛嫌いされるのはわかっているけど、
お母さんはやっぱりあなたたちが心配で、
いつも
あなたたちのことを思っているんだ、
といった。

いつもなら
「うっせえな」
「うざってえんだよ」
と反発する子供たちが
黙ってうなずいていた。

私は会社のことを話した。

いまやっている仕事のことや、
人間関係での悩みまで話してしまった。

初めてのことだった。

子供たちも妻も
黙ってきいてくれた。

電気がついて、
子供たちはさっさと自室に消えた。

1本のロウソクのマジック。

停電がもたらした
夢のようなひとときの
プレゼントだった。

これからはきっと
ロウソク無しでも会話できると思います。