REN。 ver1 (小説) | +MIROKU。

REN。 ver1 (小説)

とても静かだった。


荒い鼻息もこの耳でききとれた。


一瞬の油断も許されないこの世界。


気を許さない静寂がつづいた。


だが、その沈黙は相手の先手でとぎれた。


瞬間的だった。


相手の攻撃はたやすく受け止めることができた。


最後に、俺は渾身の一突きを放った。


相手が地面に倒れる。


そしてやがて浮かんできた

「YOU WIN!」の文字


緊張が解ける。


現実ではない、いわばバーチャル世界。


「CORD:」という名のオンラインゲームのなかの世界だ。


社会現象を巻き起こし、いまでも非常に人気が高い。


機械的な椅子形の本体に座り、プレイするのだ。


実際の感覚と同化されていて、まるで自分が戦っているかのような気分になれるのだ。


そしてまたもや表示される文字。


「オメデトウゴザイマス。プレイヤーランク9位トナリマシタ。」


夢にまで見ていたこの瞬間。


「よっしゃぁ~!!」と無意識に叫んでいた。


ただうれしかった。全国のプレイヤーのなかのトップ10にはいったのだ。


これ以上うれしいことはない。


だが、うれしさもほんの一瞬だった。


画面がザーという音を立てながら消えていった。


頭の中も真っ白になった。


バグだ。


データはすべて破壊され、リセットされることになる。


おそらくウイルスが入り込んだのだろう。


突然、ネズミのイラストが画面に浮かんできた。


そのあとのことはあまり覚えていない。


なにがあったのかもわからないが、気が付けば現実味のない世界の中にいた。


つづく。