ブログを書くのを少し休んだ。暖かくて天気がよいと庭仕事の方が忙しくなるため書く時間がなくなることが理由である。言い訳はともかく、1950、60年代でも洋画の90%はハリウッド映画であったため、当時の見た映画をジャンル別に分けてみても相当の数に上る。なかでも西部劇がなんといっても多い。西部劇の良さは、筋が単純で善悪がはっきりしていることであるが、私は白黒であっても、カラーであっても、日本にはない広大な平原とどこまでも広がる青い空の景色に憧れた。また、かつてのアメリカのパイオニア精神も堪能することができた。

 なんといっても、西部劇といえば戦前からジョン・フォード監督と主演のジョン・ウエインであろう。この二人による「駅馬車」は1939年の作であるから1940年生まれの私は封切りでは当然見ていない。でも、映画館で見た記憶があるので、リバイバルでの名画座鑑賞であったのだろう。テレビでは西部劇の迫力はでてこない。ジョン・ウエインの騎兵隊三部作と言われた「アパッチ砦」(1948年)、「黄色いリボン」(1949年)、「リオグランデの砦」(1950年)。これもリバイバルで映画館で見たものである。ミッチー・ミラー合唱団による黄色いリボンのコーラスは今でも耳に残っている。

 ジョン・ウエイン主演では「捜索者」(1956年)、そしてウィリアム・ホールデンと共演した「騎兵隊」(1959年)、「リオ・ブラボー」(1958年)では喜劇俳優だった共演のデイーン・マーチンの真摯な演技には感心した憶えがある。ジョン・ウエインなくて西部劇はないが、その他、ゲイリー・クーパー、ヘンリーフォンダ、グレゴリー・ペック、ジェームス・スチュアートなどが主演した映画は、俳優の名前を目当てにしてほとんど見ているが、監督名にはあまり関心はなかったのでよく覚えていない。ひとつひとつ挙げていくときりがないので省略するが、何回でも見てみたい作品がある。

 ひとつにはバード・ランカスターとカーク・ダグラス主演で西部開拓史上最も有名な決闘を描いた「OK牧場の決闘」(1957年)がある。このふたりの共演はまさしく夢の共演ではなかったかと思う。フランキー・レインの唄う主題歌も街中のあちこちで聞いた記憶がある。ユル・ブリンナーとステイーブ・マックイーン主演の「荒野の7人」は黒沢作品

 ふたつめはアラン・ラッド主演の「シェーン」(1953年)である。通常の西部劇と違うが、開拓者家族、特にその子供との交流は西部劇にとってはまた別の感動を呼び起こすものであるという印象をもった。

 みっつめはマリリン・モンローが主演した「帰らざる河」である。しかもシネマースコプ作品である。マリリン・モンローとロバート・ミッチャムではないか。見逃してなるものかと思った。今でも、"The river no return"

というモンローのハスキーな唄が聞こえてくる。

 いずれにしても、1960年代の後半でハリウッド西部劇は終わった。インデアンと戦う姿勢が問題だというような公民権運動が出てきたことによるが、アメリカが次第に開拓精神を失くしていく新しい時代に入ってきたことによるものだろう。

 映画館で見るような西部劇はもう制作されていない。マカロニ・ウエスタンはテレビで十分である。