1950年、1960年代のアメリカは私のあこがれの時代であった。高校生のころはフルブライト留学生に応募してアメリカで1年ぐらい滞在できないかと思ったくらいである。

 なにからアメリカの生活を思い描いていたかというとやはり映画である。しかもハリウッド映画、きらめくばかりの女優さんや男優がいたころである。結局は洋画として見た数もアメリカ映画が多かった。

 アメリカ映画については、ミュージカル、西部劇、SF、スリラー、戦争などそれぞれのジャンルごとに思い出を書かないと整理できないぐらいである。

 シネマスコープとして立体音声で圧倒されながらこれこそがハリウッド映画だとして初めて見た映画が「聖衣」である。1953年公開とあったから、私が中学生のころである。監督は知らない人であったが、ここで出演していた、リチャード・バートンやヴィクター・マチュアなどの男優を知ることになった。1959年の公開であるがローマ時代を題材にした映画には「ベン・ハー」がある。チャールストン・へスターが主演である。騎馬による戦いの描写などはシネマスコープでこその迫力が発揮されている。これらの映画はスペクタルものとして扱われているが、キリストに関係する物語でもある。誰がイエス・キリスト役になるのか、イエス・キリストの後ろ姿や遠景はあるが、キリスト本人の顔を正面から撮るということは誰も出来ないのではないかと友人と話し合ったことを憶えている。

 アメリカ映画にはミュージカル映画が多いが、私はあまり好きでなかったのでほとんどスルーしているが、「雨に唄えば」はジーン・ケリーのタップダンスに惹かれて見ている。1952年の作品であるが、シネマスコープではなく普通のサイズの映画である。これもミュージカル映画のひとつであろうが、「ウエストサイド物語」は面白かった。数少ない大学生の時に見た映画である。ナタリー・ウッドを知ったのはこの映画からである。(以下 書ききれないので次に続く)