台湾の表玄関口は桃園市にある国際空港である。台北には機場からはMRTがつながっているから、台鉄の台北駅までは簡単にアクセスできる。したがって、桃園市はビジターにとっては通過点になることが多い。また、翌日のフライトに備えて宿泊するビジターも多いと見えて、ホテルを探しても機場から遠いところでも結構価格が高い。宿泊日だけ考えると隣の新竹まで移動した方がいい。これもMRTを使って高速鉄道の桃園駅まではすぐであるし、高速鉄道では15分もかからない。

 大晦日の夜に到着することと外国人は入国に時間がかかるため、この夜は桃園市内にホテルをとった。タクシーでホテルに到着して驚いた。いわゆる、ビジネスホテルクラスであるがフロントはなくその代わりに自動受付の機械がおいてある。予約のときにもらったID番号を入力するとキーカードがでてくる。このカードがホテルへの入館証になり、部屋の鍵になる。部屋にはそれなりの設備が準備してあるが、いろいろ問い合わせをしようとしても時間外となっている。掃除以外はまったく無人の管理である。ここまで省力化になっているのかということにびっくりしたことと、管理者がいないということは、万が一緊急の問題があるときには不安である。合理化の典型例であるが果たしてこのようなホテルは日本でははやるだろうか。たまたま近くに夜市があり、大晦日の夜は夜市をぶらぶらしながら立ち食いとなった。

 

 桃園市には観光するところ多くあるが、何しろ、荷物を預かるサービスがないので次の宿泊予定地の新竹市に移動することにした。台鉄の区間車を使ってのんびり行っても1時間程度で移動できる。

 新竹市は台湾のシリコンバレーとも呼ばれていうぐらい、ITや半導体企業がある。また、美食の町としても知られ、新竹ビーフンが有名である。前回来た時には、お土産として購入したが、かさばりすぎるので日本へ運んでくるのに閉口したので、今回は現地で食べるだけにした。

 たまたま新竹でとったホテルは街の中心に近く、多くの日本からの出張者も多く宿泊するホテルであった。たしかに、元日など無関係に何人かの日本人が作業着で朝食会場にいたのに出会った。聞いてみると半導体設備の設置と調整に来ているそうである。日本の半導体産業は完全に負け組であるが、半導体製造装置関係の企業高い技術力を保持している。この関係の技術者は日本ではあまり需要がなく、設備投資の盛んな台湾に出稼ぎにくるほかはなく、残念な話である。

 新竹の後は台中に移動した。台鉄では山線、海線があるが遠回りになるのを覚悟して海をみたかったので海線を選んだ。沿岸は風力発電のタワーがなん10kmにわたって続いているのが有名である。

 台中駅はかつての日本の駅舎は記念建造物として保存の対象になっており、そのわきに新しい駅舎が完成して使われている。駅舎の外は屋根のかかった広場がある。その広場にはホームレスが多く寝ているのを見かけてびっくりした。このような光景は前にはなかったことである。さすが、台湾でも一番過ごしやすい気候の台中とは聞いていた証拠でもあろうと思ったが、私たちが台鉄にのると安くて美味しいと思っていた台鉄駅弁を食べていた。私たちも同じ駅弁を買ってホテルで食べたときにはなにか複雑な気持ちになった。