この度の能登半島地震について、もうふたつばかりの問題を指摘する。

 ひとつは社会的弱者の避難問題である。この頃になってようやくマスコミも特別養護老人ホームの現状について報道するようになってきたが、地方の高齢化率はかなり高く珠洲市では50%を超えるといわれている。もちろん、在宅介護を受けていれば高齢者の迅速な避難は難しい。しかし、このように高齢化比率の高い市町村では公的、あるいは民間をとわず各種の高齢化施設が多く社会的弱者が集中している。

 これらの施設では建物が倒壊するということはよほどの限り見受けられないが、ライフラインが途絶すれば当然介護は困難になる。また、食材の搬入ができなくなってもやはり介護は難しくなる。病院もやはり一時的で社会的弱者の集まりである。病院の場合はライフラインが止まっても数日間の備えはあるだろうが、入院患者をどう転院搬送するかを考えなければならない。災害地域が広くなると介護施設や病院の職員自身も被災者であることが多い。

 施設の入居者の他施設への転居については、搬送が可能になっても、多分どこの施設も定員ぎりぎりを運営していることが多いのでそう簡単には進まない可能性がある。病院の転院の場合は、電子カルテがあることから本人と病院同士の協定があれば転院先でも状況把握ができるはずである。(実際にはこんなことはないので、転院するときは紹介状や前病院の薬手帳を持参させられる)。 老人施設の場合は介護日誌の書き方は施設ごとにばらばらであり、電子化されるているかどうかもその施設の判断である。介護士の絶対数が不足なところに、まったく新しく被介護者を急に受け入れることは大変なことである。

 この問題の解決には、まずは救命、救護と同時に病院や老人施設に対するライフラインを最優先して復旧することである。また、老人介護施設では従来から問題とされているように、介護士の人員を増やすことである。岸田首相さん!!少子化問題ではいろいろな要因が絡み合ってなかなか本命になる対策が実行できないが、介護士増は抜本的な待遇改善をはかりさえすれば可能ではないのか。

 長くなったので、もうひとつの問題については次回の投稿に譲ります。