26日、27日は山形市へ行った。目的地は山形県庁。
今まで山形県の科学・技術力アドバイザーとして非常勤ではあるが山形県の中小企業やベンチュアー企業への技術、ときには経営まで含んだアドバイスをしてきた。所属組織は県の出先の企業振興公社や県庁と変わってきたが、仕事の内容は変わらないままで継続してきた。
地元の国立大学法人は研究資金獲得などの関係でどうしても中央の大企業と連携することが多く、地元の中小企業のニーズにはあまり積極的に答えることはしない。大学へ勤務していたときには私も同じような状況だったのであまり責めることはできないが、工学の基本はやはり現場からであることを20年以上このような仕事して見にしみて感じた。
日本の大企業の成功は中小企業の技術力が優れていることに依存している。自動車産業などは典型的にそのような体質である。ただ、経営的にはどの中小企業も大変であり、原材料やエネルギー価格の高騰が問題となっており、発注企業がこの分を吸収する購入価格を上げない限り、経営的に安定することはない。まして、現今の人材不足である。中小企業の経営を安定させて、技術力に対応する賃金を支払うことができなければ、若い人への技術の伝承はできない。
また、若い後継者が現れければ廃業しかない。M&D、プロヘッショナル人材の確保、よろず相談など国(中小企業庁)などが政策的な対応を進めているが、その実があがったいるとはまだまだ言えない状況にある。
今年度でこの仕事から完全に引退することで最後の山形県庁訪問であった。いままでお会いした中小企業の経営者や技術者の一人ひとりに挨拶する時間はなかったが、最後の仕事としては県知事にはこのような実情であることは十分に説明した。
たわごと的に言えば、私の半生は大学での教育と研究、残りの半生は中小企業の現場での技術と経営アドバイスということになる。さまざまな出会いがあった。すべて感謝の一語につきる。当日の出迎えの雪景色は名残りの雪である。