
最近ちょくちょく映画を見てるのに見たメモが止まってた。
少し前にこのはじまりへの旅を見ました。
タイトルにピンとこなかったので原作タイトルを調べたらCaptain Fantastic
直訳だと風変わりなキャプテンという意味?こっちのほうがなるほどと個人的に思いました。
とある一家のお話なんですけど、コメディ色の強い映画かと思いきや
わりとしっかり内容あって考えさせられました。
主人公一家の父親は自分の考えにそって独自に教育、子育てをしていて
世間的にはかなりズレたやり方。
いくつもあるけれど、それは生活環境から特殊で
一家は山奥で自給自足で暮らしている。
冒頭、長男が仕留めた獲物の内蔵を生のまま食べるという儀式のようなシーンから始まって
「やべぇ家族か?」って印象を受けるけど、ぶっとんでヤバいのはそこだけ。
何に備えて?という戦闘訓練や、山登り、体力作りなども小さい子にも皆にさせている。
誰の力もかりず、山奥でも一人で暮らしていけるスキルが身につきそうな教育。
ただそれだけではなく、たくさんの本を読ませてきちんと勉強もさせている。
8歳の子供にも中学生レベルの学力を付けさせていたっぽい。
学校に行っても子供は勉強しない。身にならない。
街は不要なものばかり。人をバカにさせるものばかり。
子供自身が考えて行動することを大切にする。
考えの主張の仕方をしっかりとさせる。
子供に対してどんな嘘もつかない。建前もいらない。子供に考えさせる。
一家の父親からはこういう考えなのかなぁみたいなのを私は感じてました。
そして私も、それらはすごく大事だと思うし、私もこの父親の考えに近いものがある。
父親の教育で子どもたちはしっかり勉強する時間を取るし、父親にきちんと従う。
兄弟全員かなり頭が良く長男は有名大学にいくつも合格するレベル。
父親のお勉強の教え方は正しかった、ということだろうな、それはすごいと思う。
それはこの父親の良いところ。
ただ父親がこうしようと思ってやっていることは、父親の考えでしかない。
学校に行かせることが無意味かどうかは親が考える事ではなく、親の義務。
それを父親の独断で奪ってるのが父親の悪いところ。
生活環境も子どもたちには選択することができない、用意された環境がすべて。
子どもたちにとってはそれが普通、当たり前。親が用意したものがその子の当たり前になる。
それってとても責任重大なことなんだって改めて思った。
子どもたちが山奥で住むことを望まなかったら、山を降りて暮らす術が逆になく
大人になってから苦労して自分の環境や父親を憎む時もくるかもしれない。
そうはならなかったこの家族。
キッカケは母親の他界。亡くなった理由は自殺。
父親はこの死因も、子どもたちになにも隠さずそのまま伝える。
小さい子にもそのまま。何をオブラートに包むでもなく事実ありのままを話す。
これも、どうするべきか人によって考えがわかれるところ。
私はなるべく正直でありたい。子供は思ってるよりもしっかり考えることができる。
ちゃんと受け止めて考えてほしいと私も思うかもしれない。
母親の葬儀に出席するために、一家は総出で山を降り
それをキッカケにこれまでの生活について考えるタイミングを、父親も子どもたちも迎える。
最終的に父親は自分の過ちを認めて、子供たちを祖父母に任せ、自分は離れる決断をする。
この過ちを認められる、というのがまたこの父親のすごいところ。
強い意思じゃないとやってこられなかった子育て、教育なのにその考えを改めた。
それは本当に家族が大切で、家族を思ってやっていたからできたことなんだろうと思う。
だからこの父親は、間違いはあったかもしれないけれど、すごくいい父親だと思った。
全部自分がこうしたい、こうじゃないとダメだ!って押し付けたいわけではなく
それが子どもたちのためになる、と信じていた事だったから。
そうじゃない可能性があったなら、それは改める。うん、当たり前だけどすごいと思う。
そして、それだけ家族を大切に想っているのが、子供たちにもしっかり伝わっている。
離れて暮らすことを子供たちが拒否する。
これからも父親と一緒に暮らす、そう選択する。父親の過ちを許す。いい子たちだ~本当に。
山奥では、暗闇の中焚き火を囲んで読書をするのがこの家族の日課のシーンとしてあったけれど、ラストシーンでは家の中で朝食をとりながら、それぞれ勉強や読書にふけってるシーンでおわる。場所や環境が変わっても、変わらない家族の日課シーンがすごく良かった。
人によって子供のためにどうするべき、と意見がわかれる題材がいくつも入っていて
家族の絆も感じられるとても良い映画でした。