こんにちはニコニコ

先日はアカデミー賞授賞式がありましたね♪

今年度の受賞作も気になるところですが、

ひとまずは過去の受賞作をと思いまして、

アンジェリーナ・ジョリーが助演女優賞を受賞した今作品を。

私アンジーって苦手だったんですよねえー

お顔立ちもちょっと怖いし、

私ジェニファー・アニストンが好きなので笑

でもこの作品を観て見方が変わりました!

迫真の演技は鬼気迫るものがあり、恐怖すら感じるほどリアルで、

これは受賞も納得!!キラキラ

 

◆概要

監督:ジェームズ・マンゴールド

脚本:ジェームズ・マンゴールド、リサ・ルーマー、アンナ・ハミルトン・フェラン

キャスト:ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー、ウーピー・ゴールドバーグ 他

 


(出典:Amazon)

 

①環境の恐ろしさ

ウィノナ・ライダー演じるスザンナは17歳。

ある日アスピリンとウォッカを大量摂取し自殺未遂を図ったことで、

両親に精神病院への入院を勧められる。

彼女は、ほぼ全員が大学に進学するような高校にいても卒業後の進路も曖昧で(本人は作家志望だが大人達には相手にされず)、

性に奔放なところもあり、周囲からは浮いた存在だった。

そんな彼女に下された病名は「境界性人格障害」。

現実と妄想の世界の区別がつかず、情緒不安定になってしまう病だそう。

病院には様々な患者がおり、彼女よりも重症な者が目立つ。

初めのうちは馴染むことはなかったが、

いつの間にか病院のリーダー格であるリサ(アンジェリーナ・ジョリー)と親しくなり、次第に破天荒な彼女に惹かれていく…

 

まず思ったのは、環境って恐ろしいなと。

最初は施設内の雰囲気や他の患者を嫌がっていたスザンナが、

リサと仲良くなり毎日を過ごしていくうちに、

病院内の人達を仲間のように感じ、次第に居心地の良さを感じてしまっている姿が印象的でした。

もちろん、環境に適応することは大切ですが、

病気を治す為に入院したはずが、

他の患者に感化されて、いつしか自分は病気だから仕方ないと受け入れてしまっていることが残念でした。

でもそこを見抜く精神科医達はさすがですね!

「自分の弱さをどこまで許すか。どこが弱いのか、それは弱さか。弱さに浸って一生病院の中で過ごすのか、大きな問題・大きな決断よ。たしかにどうでもいいってフリを装う方が楽かも。」

このセリフはすごく印象的でした。

 

自身の問題・現実から目を背けて、病院という守られた世界の中で、ある意味ぬるま湯に浸かっていたスザンナに最適な言葉だったと思います。

物語の最初は窮屈で閉鎖的で不気味に映っていた病院が、いつしか温かくて優しくて、患者達を守ってくれる場所のように見えてくるのがとても不思議で、知らぬ間に作品に没頭していたのだと気付かされました。


②リサという人間の魅力と恐さ

リサはすごく恐かった。

でも他の同世代の患者たちを束ねるリーダーとなるくらいです。

カリスマ性があるのはわかります。

みんながなかなかできないような破天荒なことをやってのけてしまう姿は、

病院という隔離された世界にいる思春期の子達にとって、魅力的に映るのだろうと思います。

リサと一緒だったら楽しいことができると思わせるのでしょうね。

それに外出時に、スザンナが過去に関係を持った相手の奥さんから責められた際も、代わりに文句を言って守ってくれたり、頼れる一面もあります。

しかし忘れてはいけないのは彼女は8年間もこの病院にいるということ。理由はあります。

彼女の反社会的・暴力的な一面は所々で描かれていますが、

決定的になったのは、先に退院したデイジーに対する態度です。

これは是非観ていただきたいですが、同じ病院で過ごしてきた仲間に対する発言・態度とは思えないです。

このシーンで改めて、リサの心は病に侵されているということを再認識させられました。

病院の中が舞台なのに、10代の女の子が沢山いることで学園もののような明るさがあって一瞬忘れてしまっていました。

しかし、彼女たちは確かに何かを抱えていたことがわかります。

リサが他の患者を束ねるのも、問題を起こすのも、脱走を図っては帰ってくるのもすべて理由があるのです。

彼女は8年間もこの閉鎖的な空間にいる。

それがどれだけ孤独で悲しいことなのか…

最後の方でリサ本人が本音を吐露するシーンがあります。

「なんでみんな無視するの」

これが全てですよね。

誰も自分には本当のことを言ってくれない、

だからこそ自分から問題を起こして皆に咎められるようにしたりするのだと思います。

そして、先に退院していく仲間を恨めしく思い、自分の世界観に引き込んで回復への邪魔をしたりしていたのだと思います。

きっと彼女なりの焦りや不安があって、でもそれを素直に言えなくて現実から目を背けていたのでしょうね。

感情の動きが彼女の目から伝わってきます。

身近にいたら恐いですね。

 

③異常なのか正常なのか

最後にスザンナは自分は異常だったか考えます。

そして「心が壊れたり、辛い秘密を抱えていても、異常ではない。

普通より少し”揺れ”が大きいだけ。

みんな完ぺきではなかったけれど友達だった。

そして彼女たちのほとんどが社会に戻った。」

と、他の患者達のことを言います。

この言葉から、皆がスザンナのように回復したのだろうとわかり安心しました。

果たしてどこからが異常なのか。

異常とはそもそも何を指すのか。

これはとても難しいですよね。

普通の社会で生活していても、

穏やかな人、攻撃的な人のどちらもいますし、

ちょっぴり傷つきやすい人もいれば大胆な人、

人と違う視点で物事を考えられる人…

人それぞれで挙げたらキリがないです。

それらを個性と捉えることもできるし、もしかしたら心の病なのかもしれないし。

それは本人にもわからないのかもしれません。

でも、誰にだって弱い部分はあると思います。

スザンナのように自分の弱さを受け入れて、そこも含めて自分を愛し、

前を向いていけたらそれはもう異常ではないのだろうと感じました。

 

初めは精神病院が舞台だったので、観るのをためらってしまっていましたが、

母から絶対に観た方がいいと言われ観ました!!

たしかに考えさせられる点は多いけれど、

演者達のリアルな演技には魅せられましたし、

終始重い空気ではなく、テンポも良かったので最後まで一気に観終えてしまいました♪