フジオへの違和感、

それは…


仕事、行ってる!?


フジオは地元の大企業の工場で働いていた。
大企業といっても所詮、工場の製造ライン。
夜勤でもしないと、お給料は大して良くない。
フジオも私も一生働く場所としては不安を感じていた。
そのため、フジオは私と付き合って半年後くらいからFXをやっていた。
FXをやり始めた頃は大損もしたそうだが、その後は安定して稼いでいたようだった。
私はFXなんてよく分からないし、それよりも安定した会社で働いてくれるほうが良かったが、フジオが頑張っていたことも知っていたから副業としてFXをするのもアリだと考えるようになった。
ゆくゆくはフジオはFXだけで食べていきたいようだったが、それはもっともっと先の話だと思っていた。

話を戻して、
私がフジオ仕事行ってる!?と思い始めたのは、
平日昼間からフジオの車が家にあり、フジオ宅に人の気配を感じたからだ。
フジオ宅は職場のすぐ裏のため、違和感を感じた私はたまに昼休みにフジオ宅前を通るようになった。
すると、フジオの車はずっと家にある。なんとなく家に人の気配も感じる。
車のことをそれとなく聞くと、会社の人の車に一緒に乗せてもらって仕事に行ってると言っていた。
だが、それだと辻褄が合わないことがあった。
午前中にはあった車が数時間後になくなっていたのだ。
本来ならフジオはまだ会社にいるはずの時間。。。フジオに、
「今日休みだったの?」
と聞くと
「仕事行ってたよ」
と普通に返ってくる。

絶対おかしい真顔

ある日、私は昼休みにフジオ宅に行き、呼び鈴を鳴らした。
もちろん、私の姿は見えないように隠れた。
この日は休みではないことも前もって聞いていた。

呼び鈴をならして数分後。

出て来ないからやっぱり私の思い過ごしか…
と思い、帰ろうとしたその時、
フジオの玄関の扉が開き、フジオの顔が出てきた!!

フジオ「ポーン

私「なんで家にいるの??仕事は??」

フジオ「…休みだった」

私「今日、仕事って言ってたよね!?
もしかして…仕事行ってないの!?」

フジオ「行ってるよ!!」

私「じゃあ、証拠見せてよ!保険証とか。」

フジオ「嫌だ。なんで見せないといけないの?」

私「会社辞めてないなら、保険証見せてくれたっていいじゃん。疑われるの嫌でしょ?見せてくれたらこんな言い合いもしなくていいし、簡単に解決する。」

フジオ「嫌だ。作業着ならここにある」

フジオは会社のマークの入った作業着を私に見せた。

でも、こんなもの会社を辞めてない証拠にならない。

私は
「いつかフジオは会社を辞めるだろうと思ってた。だから、会社を辞めたとしても驚かない。だけど、私との結婚のことを考えてくれるなら辞めるのは今じゃない。ちゃんと私とのことを考えて欲しい。ちゃんと考えてどうしたいか結論を出して」
と言い捨て、昼休みが終わり仕事に戻った。