フジオの祖母がいるA県へは車で二時間かからないくらい。
ドライブにちょうどいいくらいの距離だ。
ナビのお陰で迷うことなくフジオの祖母が住んでいると思われるアパートまですんなり来ることができた。
アパートは意外にも街の中心にあった。
しかし、アパートの周りは夜のお店ばかりで、昼間だったが、なんだかこの一角だけ違う空気を感じた。
そして、
いよいよフジオ祖母のアパートへ!!
アパートを見つけ、部屋番号を確認。
ここだ!!
この扉の向こうにフジオ祖母がいる…はず!!
赤の他人の私が一緒にいたらフジオ祖母は嫌だろうと思い、私は少し離れたところで隠れて様子をみることに。
ついに、フジオがインターホンを押す。
フジオ祖母は本当にここにいるのだろうか。
突然訪ねてきて、怒り出したりしないだろうか。
フジオのことを冷たくあしらったりしないだろうか。
いろんな不安が頭をよぎる。
どうか、フジオ祖母がフジオのことを受け入れてくれますように。
どうか、フジオを傷つけるようなことは言いませんように。
ガチャリ。
ドアが開いた。
私がいる場所からは姿は見えないが、声は聞こえる。
フジオ「あのっ…お久しぶりです。フジオです。昔、よく面倒見てもらった…覚えてますか?」
祖母「…(たぶん驚いて声がでない)
まさか家を訪ねてくるなんて…!どうやって居場所を知ったの?手紙の返事を書かなかったのは、もう忘れたほうがいいと思ったから…」
フジオ祖母は明らかに動揺している。
フジオ「戸籍を調べて住所を知った」
祖母「そうか…戸籍か…。いつかこんな日が来るかもしれないとは思っていた。
目がお父さんに似てるね。お母さんは二重の大きな目だったと思う。」
フジオ「お母さんは確かに二重だよ。俺、お父さんに似てるんだ…。」
祖母「これから人が来るから今はゆっくり話できない。一時間後くらいにまた来て欲しい。」
私達は一旦出直すことに。
だけど、ちゃんと話をしてくれるようだ。
かなり戸惑っていたようだが、フジオを拒絶するようなことはなかった。
少しホッとした。