携帯電話
野中さんが休日に部屋を片付けていると押し入れの奥から四角い缶が出て来た。
缶を開けて中身を確認すると昔使っていた三台の携帯電話が出て来た。
懐かしいと思ったが、一旦缶の蓋を閉めて片付けを再開した。
どうせ充電が切れているだろうから充電器を探して後でゆっくり楽しもうと思ったのだ。
…がしかしついに充電器は見つからなかった。
中に入っている画像が見れればと思ったのだが、コレでは宝の持ち腐れだ。
一台ずつ思い出をなぞるかの様に携帯電話を開けたりして見た。
最後の一台を開けた瞬間メール画面が開いた。
画像付きメールは笑顔の元カレの写真と「コレからそっちへ行くよ」とのメッセージが。
思い出すと非常に束縛の強い男で最後はストーカー紛いの事までされたっけ。
彼女が別れを切り出すと「絶対別れない!絶対離れない!!」と言って周りを巻き込んだ騒動に迄なったなあ。
等と当時は大変だったが、それも今となっては良い思い出だ…みたいに考えていた。
あの男は今何しているのだろうか?とか考えているとスマホの呼び出しが鳴った。
珍しくメールが着信している。
イタメが多いのでPCからのメールは拒否してあるので滅多にメールはならないのだが?
メールを確認するとタイトルに今、考えていた元カレの名前があった。
余りにもタイミングが良過ぎて何か怖かったので、そのまま消去した。
消去した途端に同じタイトルのメールが送られて来た。
もう一度消去すると、またすぐに同じタイトルのメールが届いた。
チョット気味が悪いが一度メールを開いてみようかと思っていると弟がノックも無しに部屋に入って来た。
野中さんからすれば心臓が飛び出るほど驚いたが、この際だから今迄の流れの話を弟にした。
弟は「それ絶対にヤバイ奴だから開けちゃあ駄目だ!」
大体何年も放ったらかしの携帯に電源が残っている訳も無いし、契約の切れている携帯電話が受信できる筈もない。
弟の先輩で、そういう系統に詳しい人がいたので連絡を取ってもらうと「直ぐに来い」と言われた。
弟と二人でその先輩の所へ行くと。
「先ず、その元カレって生きているの?」と聞かれた。
ストーカー騒ぎの後、急に姿を見かけなくなったが、どうしているのだろうか?
「その携帯はほとぼりが冷めるまで何処か寺にでも預かってもらった方が良いな」
その間も同じメールが何通も届いていた。。
翌日お寺に持って行き、事を説明すると「そんな事もあるかも知れんの」と二つ返事で預かってくれた。
その後ピタリとメールは来なくなったそうです。