母と彼女 | anyway...

母と彼女

母が亡くなった頃、父には愛人がいました。

かつ、彼女は私たちの母親代わりをしていました。

母が不在の私たちの家に居ながら。


父、非常識過ぎないか?、というのは、置いておいて。


私は物心付いたばかりで、それが変だとも理解せず、

母親代わりの存在をごく自然に受け入れていました。


実際、彼女はよい母親だったのです、私にとって。


今思えば、彼女を取り巻く環境は非常に厳しかった。

近くに知る人もない環境で、近所の人たちの冷たい視線。


それでも私たちを育ててくれ、今の私があるのは彼女のお陰、と

言っても言いすぎではないのです。



その彼女に、亡くなる前の母がお願いしたこと。



私たちのことをお願いします、と。



夫の愛人に???



母の私たちへの愛を直接知ることはないし、

母親の立場にない私だけれども、

どれだけの想いが彼女にあったかは推し測れます。


一方の彼女にしても、不倫相手の娘であり、その妻の娘でもある私たち。

育てるのにどんな想いがあったのかも、同じ。

大人の愛だったり憎しみと、何も知らない子供たち。

並大抵のことでない。




今の私。




たくさんの人たちのお陰で生きているけれど、

二人の女たちのやり取りは、心に深く刺さるのです。


どんな想いが込められて、私が生かされたのか、考えてみろと。


めぐる、海のような想いを。