(山本家 彩の部屋)

PM5:00 

机上のデジタル時計の画面に夕日が映る。

またスーパーマンやらないといけないんか。

彩はベッドに横になりながら木下にもらったキーを見つめた。

持ち手に〈S〉と彫られている金属製のキー。

ヒンヤリと冷たくて、指が冷たくなる。


ピリリリリ♪

彩の枕元に置いておいたスマートフォンの液晶に
(みゆき)の3文字が映った。


「もしもし みゆき?
どうした?」

『さやかちゃん! 今な、お母さんとすぐそこのファミレスいるんやけど、変な怪物が出て来て大変なんよ! 』

「…すぐそこのって、
   サイ◯リヤか!?」


『うん いつも行ってるとこ。お願い!助けて!!』

「わかった! すぐ行くわ!」

そういうと彩は家を飛び出した。

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ハァハァ…


「お さやかも来とったんか。」

なんでここに…?

ファミレスの前にはすでに木下が到着してた。

「なんでここにおるんや、って顔やな。たまたま通りかかっただけやで。」

絶対うそやん。その言い方絶対嘘ついてるやつやん。

彩はツッコミを入れようとしたが、呼吸が整わないのでやめた。


それよりみゆきや!

変身!

どっかーん!

爆煙とともにサヤカマン参上。

「そうやな なんかキャッチコピー考えよか」

「はあ? そんなんいうてる場合ちゃうやろ!」

「だ〜いじょぶやって〜。今日の怪人も前と同じくらい弱いから。」


「どーやってわかったんや?」


「ん〜 女の勘ってやつ?」

「ドアホ! テキトーなこと言うなや!」

「まあまあ落ち着けって、何個か考えて来たから。」


そういうと木下は持ってたリュックの中からキャンパスノートを一冊取り出した。


「まずA案
『たこ焼きよりも熱いアッツアッツのヒーロー
サヤカマン参上!』」

「いや ダサいやろ。」

「じゃあB案
『推進力はオナラです。ヒーローじゃなくてへーロー、サヤカマン参上!』」


「いや、さっきからなんで笑いを取り行こうとするんや?」

「やっぱりなんばのヒーローは難波節でいかんとな。

じゃあC案『尖った顎で君もあの子もシシカバブー しゃくれヒーロー サヤカマン参上!』」


「あー もうええわ!  助けに行ってくる!」

「あー待てって、Z案まで考えたんやぞ〜!」

木下がわめいたが、サヤカマンは見向きもせずにファミレスへ入って行った。


ガチャ

「あ!サヤカマン!!」


美優紀が隠れていたであろうテーブルの下からサヤカマンを呼んだ。


「みゆきとみゆきのお母さん!大丈夫か!?」


「プッ、やっぱダサいな。そのコスチューム。」

美優紀はヘラヘラした特徴的な笑い方でサヤカマンを指差して笑った。

これにはムッとしたサヤカマン。

「もう助けるのやめんで!」

「ごめ〜ん 許して〜!」

それでもヘラヘラする美優紀だった。



SAYAKAMAN 第7話へ続く