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ライティングのことを知っている人には蛇足みたいな記事で申し訳ないが、同時代に活躍した大スターであるデートリッヒとガルボでは、照明の当て方がまったく異なることに二人の主演した映画を見た人は気がつくと思う。

まず、ガルボの方は「レンブラント照明」になっている。顔の右上からキーライトが入り、それが上から入ることで左側のシャドーの部分は、左の目の下が明るくなり、鼻筋が作る影と重なって、よく見ると逆三角形の明るいゾーンができている。このシャドー部の目の下にできる逆三角がレンブラント照明の特徴である。どちらかというと平板なガルボの顔を彫り深く見せているのだ。ウィリアム・ダニエルズは、画家レンブラントを尊敬していたと言われるが、そのライティングはまさに「レンブラント照明」を基本にしている。わかりにくいかも知れないので、下にジョーン・ベネットの写真をあげておく。この場合、キーライトは左上からで、右下の目の下に逆三角の明るい部分があるのがはっきり分かるだろう。

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これに対してデートリッヒの照明はまったく違う。鼻の下にできている黒い影に注目して欲しい。その影が蝶々のように見えるので、この照明は「バタフライ照明」といわれる。この照明ではキーライトは鼻筋に沿って上から当てられている。この場合、顔が傾いているので、右斜め上から当てられていることになる。リー・ガームスが採用したこの照明では、彼女の頬骨のところのグラデーションが、彼女の顔立ちを決定づけている。照明だけでなく、たしかデートリッヒは丈夫な奥歯を抜いたのだと聞いたことがある。